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2023.10.14 08:00

小社会 ああ牛丼

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 中島みゆきさんの名曲「狼(おおかみ)になりたい」は、夜明け前の吉野家にいる男の悶々(もんもん)とした思いを描く。今でこそ女性やファミリーがよく訪れる牛丼チェーン店だが、かつては男やもめの郷愁に満ち、寂寥(せきりょう)感も漂っていた。

 一方、その安さと手軽さで金欠気味の若者には重宝され、「青春の味」だというおじさんも少なくない。作家、中村航さんの忘れられない食の一つは、学生時代に友人と分け合って空腹を満たした「薄味の牛丼」とか(朝日文庫「作家の口福」)。都会で単身生活歴のある県民の中には共感する人がいるのかも。

 小欄もその1人。都内の駅近辺では大抵、吉野家と松屋がしのぎを削っており、自宅に近い松屋にずいぶんお世話になった。

 だからこの一報に反応してしまった。松屋が来月、本県に初出店するという。高知で食べるその牛丼はきっと若い頃の思い出がスパイスになる、とは感傷的すぎるだろうか。

 牛丼で思い出すのは、米国での牛海綿状脳症(BSE)発生に伴う2000年代半ばの販売停止騒ぎだ。食の安全に一石が投じられた一方、当時さんざん言われた食料自給率の低さは今も全く改善していない。一杯の牛丼からいろいろな課題も見えてくる。

 ともあれ、すき家を加えたビッグ3が県内にそろった。先日の本紙「出放題」は〈松屋初出店 食べ比べに丼丼(どんどん)来てよ―吉野家・すき家〉。地元資本の外食も負けるな、と期待する食欲の秋だ。

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