2023.10.09 08:00
小社会 スポーツの日
ワールドカップ(W杯)の優勝杯は「ウェブ・エリス・カップ」。競技の発祥に、英国のエリス少年がフットボールの試合中にボールを抱えて走り出した逸話が知られる。ルール破りはちょうど200年前の1823年。スポーツの言葉には、さまざまな歴史や文化を感じて面白い。
では、「スポーツ」の語源は。評論家の玉木正之さんは著書や本紙記事で、西洋から入ってきたこの言葉は「日常の労働から離れる遊びの時空間」が本義としている。娯楽、気晴らしといった意味も加わる、と。
日本人が慣れ親しんだ「体育」とは別物になるだろうか。体育は子どもの身体を鍛えるため、教育の一環で指導者から教えられて行うもの。「体育の日」が「スポーツの日」に改称された3年前、玉木さんはあらためて「自発的に楽しく体を動かす」意識への転換を説いている。
スポーツ界の暴言や暴力を巡る相談件数が昨年度、過去最多になった。競技を問わず、全国の強豪校で起きる体罰のニュースも絶えない。「暴」の字なしでも勝利と育成が手に入る指導法は。スポーツへの成長を探りたい。
きょうはスポーツの日。小欄も大したことはできないが、ウオーキングぐらいはやろうか。自発的に。