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2023.10.01 18:01

米中ロ、自律兵器で競争 加速するAIの軍事利用

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 インタビューに応じる米CSISのグレゴリー・アレン氏(共同)

 人工知能(AI)の軍事利用が加速している。昨年まで米国防総省で勤務したシンクタンク戦略国際問題研究所(CSIS)のグレゴリー・アレン氏は、人間が介在せず敵を識別し攻撃する自律型兵器に中国やロシアが力を入れていると指摘。米国は倫理的な理由から制限しているが、開発競争は激しさを増すだろうと語った。


 ―現状は。


 「AIは情報収集・警戒監視・偵察(ISR)を変えている。ウクライナ侵攻でロシア軍の通信の多くは暗号化されていない。米国の民間会社『プライマー』は、傍受された兵士の会話を文字に起こすシステムを開発した。人間なら膨大な量の音声を聴かなければならないが、AIを使えば通信をデータベース化し、特定の地域や装備に関する会話の検索も可能だ」


 ―今後どうなるか。


 「補給、医療、兵器など軍事のあらゆる面で大きな役割を果たすだろう。ロシアは何をいつ攻撃するかを自動で決めるAI兵器をウクライナの戦場に投入したと主張している。ロシアは能力を誇張することがあるため、事実かどうかの判断は難しいが、ロシア軍や中国軍が向かう方向を示している」


 ―米軍は。


 「攻撃的なシステムではなく、ISRに焦点を当ててきた。方針として攻撃のための自律型兵器を禁じてはいない。だが研究や開発を始めるには特別な承認手続きが必要だ。私が国防総省を去った昨年3月時点では、申請さえなかった」


 ―国防総省は今年8月、AIを持つ無人機や無人艇を数千規模で配備する「レプリケーター」構想を発表した。


 「構想は新たな自律型兵器開発の源となる可能性を秘めており、転換点になるかもしれない。中ロとの厳しい競争が待ち受けるだろう」


 ―人間の判断を介さずに目標を攻撃するAI技術の開発に関し、国際的なモラトリアム(一時停止)を求める声もある。


 「開発の是非をしっかりと考える時間があれば、素晴らしいことだ。だがライバルは取り組みをやめない」


   ×   ×


 国防総省統合人工知能センターで戦略や政策の統括を担った。昨年4月からCSISでAI・先端技術センター所長。

(c)KYODONEWS

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