2023.09.29 08:00
小社会 中秋の名月に
宇宙ロケットがまだ空想の技術と思われていた時代。ゴダードはロケットなら月にも行けると論じたが、あざ笑う声が多かったようだ。当時の米紙ニューヨーク・タイムズも誤った認識でこき下ろしている。「ロケットは空気を押して飛ぶのだから宇宙では動かない」
米政府でさえ彼には無関心だったというから、さぞ悔しい思いをしたことだろう。だが、諦めなかった先駆者は偉大というしかない。人類はそれから半世紀もしないうちに宇宙へ。69年には、米宇宙船「アポロ11号」の乗組員が月面に降り立った。
その月面着陸から、さらに半世紀が過ぎ、月が再び脚光を浴びている。中国やインドが無人探査機の着陸に成功。民間機も向かい始めた。日米欧などは共同で月面調査や駐留する計画を進めている。
アポロ時代と違うのは、科学者がさらに先を見据えている点だろう。月を拠点に火星に有人飛行へ。もう半世紀たてば人類は月に暮らし、火星にも降り立っているのだろうか。
きょうは「中秋の名月」。大きくて明るい月をめでながら、月に暮らす未来の人類を想像するとロマンがある。そうだ、子孫たちはお月見の逆も堪能できるのかな。青い地球をめでる「地球見」を。