「ことばとふたり」

2023.10.13 05:00

「ことばとふたり」

高知新聞社

ことばできもちを伝(つた)えるしあわせ
　「ことばをしらないいきもの」と「ことばをしっているいきもの」が出会(であ)ったらどうなるのだろう？

　ことばをしらないいきものがいた。おいしいものを食(た)べた時(とき)には、おなかをたたいて三(さん)回(かい)ちゅうがえり。冷(つめ)たい風(かぜ)がこころをふきぬける時(とき)には、どうしていいのかわからなくなるので、ぐぐぐぐぐぐぐと声(こえ)を出(だ)す。

　いっぽうそれを見(み)ていたことばをしってるいきものは、おいしいものを食(た)べた時(とき)は「おいしい」と言(い)い、「たのしい」「あったかい」と声(こえ)に出(だ)す。「ハグハグ」とくりかえしながら、ことばをしらないいきものに近(ちか)づいていった時(とき)のなんてうれしそうな顔(かお)だろう。ともだちになりたいんだよ。

　「ハグ」。それがわかったいきものが、たったひとことつぶやいたしゅんかん、ふたりのあたらしいくらしが始(はじ)まった。時(とき)にはことばのない時間(じかん)もたのしみながら。（ＮＰＯ法人(ほうじん)高知(こうち)こどもの図書館(としょかん)　村井()由岐子()）

「ことばとふたり」　ジョン・エガード／文　きたむらさとし／絵・訳　岩波書店　小学校中学年以上

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