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2023.09.25 08:00

小社会 イクメン

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 南極の海でコウテイペンギンに出合ったことがある。体長は1メートルを超え、ペンギン類の中では最大級。その大きな体で「涙ぐましい子育てをする」と同行の人に教わった。

 産卵した雌は栄養を取るため3カ月近く海に出る。その間の抱卵や子育ては雄の役目となる。しかも極寒の地。卵やひなのそばを離れるわけにいかず、絶食する。ふ化したひなにも自らの体内組織を溶かして与える徹底ぶりだ。

 雌が戻ると雄はようやく食事に繰り出すが、体力は限界に近い。餌にありつく前に絶命する個体もあるとか。人間社会では育児に積極的な男性を「イクメン」と呼ぶ。野生にもイクメン動物は多いが、命懸けという意味ではコウテイペンギンは最強かもしれない。

 「男性の家事・育児力」の民間調査で本県が2年連続で全国トップとなった。男性の育休取得日数や家事・育児時間、家事・育児幸福度などを聞き、点数化して比較した。共稼ぎ世帯が多い高知の特性が背景にあるとみられる。

 喜ばしい話だが、調査は「量」の相対評価でしかない。分担する家事や育児の内容、責任の重さについては見極めが要るだろう。イクメンは増えつつあるが、きのうの本紙でも専門家が「質」の重要性を指摘していた。

 人間と動物の世界を同列には語れないが、少なくともペンギンは全身全霊で育児の責任を全うする。そもそもペンギンにはイクメンなんて言葉自体、不要だろう。

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