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2023.09.22 10:41

【ぷらっとTOKYO】「大森」 ノリ養殖の歴史に出合う

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 大森ふるさとの浜辺公園=東京都大田区

 東京都大田区の沿岸部で、江戸時代中期に始まったとされるノリ養殖は、1963年の収穫を最後に、歴史を閉じた。東京港の港湾整備に伴う埋め立てなどが主な理由だった。しかし今も大森周辺では、「大森 海苔のふるさと館」を中心に、養殖が盛んだった時代を思い起こさせる施設や景色に出合える。(共同通信=松本泰樹)


 同館は、ノリの養殖・採取、干しのりの製造・加工に使われた舟や用具などを展示。そのうち900点近くが一括して国の重要有形民俗文化財に指定されている。


 干しのりは、水に溶いたノリを四角い枠で成型し、干して完成する。建物の外には、昔ながらの乾燥用の台が並んでいた。干しのり作りの体験イベントで使うという。


 京浜港に面したふるさと館の南には、人工の砂浜を備えた「大森ふるさとの浜辺公園」が整備されている。夏はちょっと南国的な景色を味わえるが、冬にはノリの生育観察のために網などが設置され、養殖風景を見られる。


 公園から京急平和島駅へ向かう途中で、旧東海道の一部である美原通りを散策した。道幅が、江戸時代とあまり変わらないからか、落ち着いた雰囲気が感じられる。


 街灯を見上げると、ノリの乾燥作業をモチーフにしたパネルが支柱に掲げられていた。歩道の所々に置かれた石の腰かけの座面が、ノリ採取などの画題で飾られているのも、うれしい。


 通り沿いの店舗のシャッターに描かれた浮世絵風のイラストを楽しんだ。大森の海の光景など、江戸時代の東海道周辺を表現しているのだろう。当時の旅人は、養殖風景を目にしただろうか。


 【メモ】美原通りの南端にある内川橋を渡ると、南に向かう旧羽田道が現れる。道沿いに、歌舞伎「浮世柄比翼稲妻」の「鈴ケ森」の場に出てくるはたご「駿河屋」があったことから「するがや通り」とも呼ばれる。

(c)KYODONEWS

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