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2023.09.16 08:00

【アフリカの災害】国際的な支援を強めたい

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 北アフリカのモロッコとリビアがそれぞれ地震と洪水に見舞われ、甚大な被害が出ている。
 両国とも救助活動は難航しており、犠牲者の数が増え続けている。被害の全容もはっきりしていない。支援物資が行き渡らず、苦しい避難生活を余儀なくされている被災者も多いようだ。
 人命救助は時間との勝負になる。広域の被災、大規模な災害になればなるほど、人員も機材も要る。医療体制の確保や、多岐にわたる被災者対応も重要になる。国際的な支援を強めたい。
 モロッコでは今月8日、中部ハウズ県を震源とするマグニチュード(M)6・8の地震が発生した。少なくとも5万戸が損壊したとされ、住民がその下敷きになった。 
 発生から1週間がたち、死者は判明しているだけで数千人に上る。被災地では、がれきの下に取り残された人らの捜索が続くが、時間の経過とともに生存者の発見は厳しくなっている。
 地震は山脈が走る内陸部で起きており、山間部の被害が大きいのも特徴だ。土砂崩れで道路が寸断され、救助隊や重機が到達できていない地域があるとみられる。犠牲者がさらに増えないか心配される。
 リビアでは数日間にわたって暴風雨が続き、大洪水が発生した。今月11日以降、東部デルナなどで大規模な被害が確認されるようになり、死者は1万人を突破。さらに約2万人の行方不明者がいるという。
 デルナでは2カ所のダムが決壊したとの現地報道もある。赤十字国際委員会は「高さ7メートルの波が、建物やインフラを海に押し流した」と説明しており、洪水がいかにすさまじかったかが分かる。
 停電、断水、通信回線の断絶も深刻で、遺体の収容も十分進んでいないようだ。感染症の発生も心配されている。
 このように両国とも厳しい状況にある。国際的な支援が急務であり、実際、多くの国が救助隊を派遣したり、協力を申し出たりしている。
 モロッコ政府はいまのところ、受け入れをスペインやカタールなど4カ国にとどめる。「現場のニーズを慎重に検討した。調整不足は逆効果となる」としている。
 一方で、リビアには近隣諸国などの救助隊が相次いで到着。支援活動が本格化しつつある。ただ、リビアは中東民主化運動「アラブの春」以降、内戦や混乱が続き、現在も国家分裂状態にある。
 統治機能の欠如がインフラや防災面の整備を遅らせ、被害を拡大させたとの指摘がある。今後の救助活動への影響も心配され、国際支援の役割は大きい。
 日本は両国と経済的なつながりがあり、互いに大使館も置く。日本は大規模な地震災害や水害を何度も経験してきた国でもある。人命救助はもちろん、息の長い取り組みが必要な被災者対応や復興にもさまざまなノウハウを持つ。貢献できることは多いはずだ。

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