2023.09.14 08:00
小社会 ドリルのレッテル
ただ、そのやり方は政界では通じにくいかもしれない。公人としての振る舞いが求められる中、一度の失点が致命的になりうる。「政治とカネ」問題などは説明責任が果たされず終わることも多い。再起のハードルが高いのは、問題を引きずって前回衆院選で苦杯をなめた甘利明・自民党前幹事長の存在も物語る。
この人はどうだろう。岸田首相が行った内閣改造・党役員人事で、党四役に就いた小渕優子衆院議員。次の総裁選での再選を最優先したような内向き感の強い人事にあって、「刷新感」を期待され、女性登用の象徴にもなった。
だが傷を抱える。父は元首相。とんとん拍子で出世したが、2014年に発覚した政治資金問題で閣僚を辞め、パソコンがドリルで壊されていた証拠隠滅行為が強烈な印象を残した。
以来「ドリル優子」のレッテルがつきまとう。きのうの会見。さすがに自虐ネタで笑いに変えるわけにもいかず、涙目で反省の弁を述べた。
有権者の反応は分かれるようだ。人は誰しも失敗しうる。寛容な世論もあるが、説明不足批判も再燃している。そもそも、そういう人材で刷新感を出せると考えるところに、ツッコミを入れたくなる人事である。