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2023.09.06 05:00

小社会 風かたか

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 2016年、沖縄県内で20歳の女性が米軍属の男に暴行、殺害される惨事が起きた。当時開かれた抗議の県民大会で、印象に残る登壇者の声があった。「われわれは今回もまた、一つの命を救う『風かたか』になれなかった」

 沖縄で繰り返される米軍関係者による凶行。「風(かじ)かたか」とは沖縄で風よけや防波堤を意味する。若い命を何としても守りたかったのに今回も…。無念さと怒りが痛いほど伝わってきた。その原因の一端に米軍基地の集中がある。

 問題は犯罪だけではない。中国との緊張が高まれば、基地が集中し、自衛隊の配置強化も進む沖縄は、いや応なしにリスクが高まる。台湾有事ともなればなおさらである。

 米軍普天間飛行場の辺野古移設を巡り、工事に反対する沖縄県が国の是正指示を違法と訴えた訴訟の上告審判決で、最高裁は県側の上告を棄却した。県側の法廷闘争は敗北が続いている。

 本土側では「見込みのない裁判を続けている」との声も聞かれる。だが、それこそが「移設はノー」とする沖縄の民意と国政、司法のかみ合わなさを象徴していないか。

 県民大会で「風かたか」になれなかったと発したのは、辺野古が位置する名護市の当時の市長、稲嶺進さんだった。先の大戦で沖縄は悲惨な激戦地となった。二度と軍や戦争の犠牲にはならない―。沖縄の人々が「風かたか」を掲げ、子や孫を守ろうとするのは当然である。

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