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2023.08.31 08:00

小社会 満月のウサギ

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 月にウサギがいる話は仏教の説話が中国を経て伝来したという。平安末期の「今昔物語集」では、昔の天竺(てんじく)で老人の姿に身を変えた帝釈天(たいしゃくてん)が、菩薩(ぼさつ)道の修行をしていたウサギ、キツネ、猿の求道心を試そうと食べ物を所望する。

 猿とキツネはすぐに持ってきたが、ウサギは何も見つけられなかった。そこで、わが身を布施として差し出そうと炎に身を投じる。帝釈天は元の姿に戻り、このウサギの姿を全ての生きる者に見せようと月の中に残した―。

 きょうは満月。国立天文台の「ほしぞら情報」によると、午前中にことし地球に最も近い位置で満月になる。悲しくも尊い物語があるウサギの姿もやや大きくなろうか。

 その月を巡るニュースがこのところ増えている。先ごろは、インド初の無人探査機が月面に着陸。月には水が氷の状態で存在する可能性があり、長期滞在や燃料用原料に活用できるとして各国が注目を高めている面もある。

 本来は学術の進歩へ世界は手を携えてといきたいが、そうもいかないらしい。先日は、米航空宇宙局(NASA)の局長が中国を警戒。南沙諸島での活動を例に「月の南極の有人探査で中国が一番乗りし『われわれのものだ、出て行け』と言うようなことは望まない」。いまの月には地上の覇権争いも映っているのかも。

 本県の予報は今夜も芳しくないようだ。人間の争いに少し困った顔に違いないウサギの姿は見られるかどうか。

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