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2023.08.29 08:29

花火大会で近隣の動物園対策は? 音から守りストレス軽減【なるほど!こうち取材班 パートナー紙とともに】

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熊本市動植物園のマサイキリン。花火大会では、飼育員が寄り添うなどして大きな音から守る

熊本市動植物園のマサイキリン。花火大会では、飼育員が寄り添うなどして大きな音から守る

 この夏は各地で花火大会が復活している。熊本県内でも26日、熊本市東区で江津湖花火大会が4年ぶりに開かれた。打ち上げ会場は市動植物園の隣接地。開催を前に、「長時間にわたる爆発音や振動、光など、飼育されている動物への影響が心配」という声が「SNSこちら編集局」(S編)に寄せられた。人間にとっては夏の風物詩だが、動物に影響はないのか。関係者に取材した。

 市主催の花火大会は2010年にいったん終了したが、15年に再開。新型コロナウイルスの影響で20年から実施が見送られてきた。大会当日は午後7時15分から1時間かけて約1万発を打ち上げる。打ち上げ場所は動植物園から約600メートルほどの水前寺江津湖公園の広木地区だ。

 同園によると、打ち上げ前には、動物たちを寝室に入れ、暑さ対策をした上で窓を閉めて花火の音から遠ざける。特に神経質なシマウマやキリンなどには、飼育員が寄り添ったり、巡回の頻度を増やしたりするなどの対策をとる。内容は過去の大会と同様という。

 過去には、ペンギンやチンパンジー、ホッキョクグマなどが一時的に警戒を示す動きを見せたことがあったが、自らへの威嚇ではないと分かると落ち着いたという。同園の獣医師、上野明日香さんは「動物のストレスが抑えられるよう、万全の対策を取りたい」と気を引き締める。

 家庭のペットにも注意が必要だ。竜之介動物病院(同市中央区)の〓田竜之介院長(61)=〓は徳の旧字=は、犬猫は人間よりも聴力が高いため、「彼らにとって大きな音は恐怖でしかない。パニックや不安症を引き起こす可能性があるので会場近くには絶対に連れていかないように」と警鐘を鳴らす。これまでにも花火や雷の音にストレスを感じ、消化器系が不調になって受診したケースも多い。

 心臓の病気やてんかん発作などの持病を持っている犬は死に至ることもあり、要注意という。〓田院長(〓は徳の旧字)は会場近くで飼っている犬を家の中に入れることも勧める。「家の中でも音が聞こえるなら、音楽をかけたりテレビの音量を上げたりした方がいい」と助言している。(熊本日日新聞)

▼高知では
わんぱーくは対応不要 距離2.5キロ 過去にはイベント場所を変えたことも
 高知市でも13日、市納涼花火大会が開かれた。動物たちはどんな夜を過ごしたのか。

 同市桟橋通6丁目のわんぱーくこうちアニマルランドに聞くと、ライオンなどの猛獣や哺乳類の多くは屋内の寝室におり、特別な音対策はしていない。主な打ち上げ場所の筆山からは約2・5キロ離れており、熊本市とは事情が違う。

 新型コロナ禍前には、より近い浦戸湾でも花火大会があったが、その際も屋外にいる鳥類を含め影響が見られたことはないという。

 ただ、吉沢未来園長は「あまりに近い場所だと、やはり不安はある」。過去にはわんぱーく敷地内で花火を使ったイベントが企画されたことがあり、動物への影響を懸念して場所を変えてもらったという。

 市納涼花火大会の会場から比較的近いペット店などでも「屋内に入れていれば、一過性の音に大きな問題はない」といった声が聞かれた。

 ただ、近距離で大きな音や衝撃を直接浴びせるのはよくない、というのは動物に関わる人らの共通見解だ。ペットの飼い主はご留意を。(新妻亮太)



 県民・読者とつくる調査報道企画、高知新聞「なるほど!こうち取材班」(なるこ取材班)。連携する全国のパートナー紙の記事や県内の状況を随時掲載で紹介します。

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