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2023.08.28 08:00

小社会 天下第一村の今

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 「改革・開放の成功モデル」といわれた中国江蘇省の華西村を15年ほど前に訪れた。村の入り口には「天下第一村」(中国で最も豊かな農村)と書かれた巨大な門。日本人にはなかなかない感性だったので鮮明に覚えている。

 村ぐるみで鉄鋼や食品加工など工業化にいち早く取り組んで、出資者の村民に一戸建てやマイカーを支給するほど潤っていた。村の担当者がやけに案内慣れしていたのも当然で、全国の視察団から入村料を徴収して、観光業も展開していた。

 そんな商魂たくましい村が先月までに事実上、財政破綻した。村営の企業集団が自力での事業継続を断念。国内各地の経済が発展したことで村の産業が優位性を失い、過剰な投資で負債が膨らんだという。

 中国経済の変調がいよいよ表面化してきた。不動産大手の中国恒大集団が米国で破産法適用を申請。他の大手も資金繰り悪化が指摘される。不動産バブル崩壊から長期停滞に陥った日本の二の舞いにならないかと不安が広がっているようだ。

 不動産価格の下落やデフレへの懸念に加え、若者の失業率も高止まり。人口減少に少子高齢化も急速に進む。それを「日本病」と呼ぶのは失礼な話だが、確かに中国の現状はかつての日本とよく似ている。

 あつれきを抱えつつも最大の貿易相手国。中国がくしゃみをすると日本も風邪をひきかねない。中国経済の未来が天下第一村の今に重ならなければいいのだが。

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