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2023.08.12 08:23

女子高生、土俵に上がる 高知県内伝統校2高部員誕生 高知工1年「高知から日本一に」 宿毛2、3年「廃部の危機救え」―月刊マル地スポ

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二つの土俵を擁する宿毛高の相撲場。男子はいないが、廃部の危機を救った女子部員たちが基礎稽古に励んでいる(宿毛市の同校)

二つの土俵を擁する宿毛高の相撲場。男子はいないが、廃部の危機を救った女子部員たちが基礎稽古に励んでいる(宿毛市の同校)


 この春、県高校相撲の伝統校2校に女子部員が誕生した。高知工業高校1年の山下さくら子は中高で全国準優勝の実績を持つホープ。宿毛高は初心者5人が廃部の危機を救おうと手を挙げた。全国、世界大会への道も開け、人気が高まりつつある女子相撲。「高知から日本一」「歴史をつなぐ」。それぞれの決意を胸に土俵に上がっている。

高知工高初の女子部員となった山下さくら子=前列中央。男子部員2人や出稽古の中学生らと鍛え、6月の全国大会では準優勝を果たした(高知市の同校)

高知工高初の女子部員となった山下さくら子=前列中央。男子部員2人や出稽古の中学生らと鍛え、6月の全国大会では準優勝を果たした(高知市の同校)

 「イチ、ニ、イチ、ニ」。全国高校総体を前にした7月。高知工の相撲場で、山下が男子や出稽古の中学生とともに練習に励んでいた。「男子に胸を借り、立ち合いのスピードも鋭くなりました」。噴き出る汗を拭いながらにっこり笑った。

男子部員と一緒に足腰を鍛える(高知市の高知工高)

男子部員と一緒に足腰を鍛える(高知市の高知工高)

 鏡野中3年時に全日本中学生女子大会2位の実力者。県外から誘いもあったが「家族や支えてくれる人がいて強くなれた。高知から日本一になることに意味がある」と大学で活躍する兄2人も在籍した高知工に進んだ。

 元幕内の土佐豊(本名森下祐哉、時津風親方)らを輩出した部も、男子は3年の主将浜村研太、1年の西岡大悟だけだが、山下と南海少年クラブ(高知市)の仲間でもある2人は「日本2位には負けられない。速さのある軽量級を想定した練習にもなる」という。

 一方の宿毛も元関脇の豊ノ島(本名梶原大樹、タレント)をOBに持つ名門だが、部員がいなくなり、昨年度は休部。2年連続で部員ゼロなら廃部になるところだった。

 そこで、豊ノ島さんの4期後輩に当たる沢田祥監督が昨年から校内で声かけ。中学時代バレーボール部だった井上明華、黒川果夢の2年生がまず入部届を出し、新谷心和主将、岡田紗那、福井藍望の3年生も加わった。中学では新谷、岡田はテニス部で、福井は美術部。相撲には「テレビ中継を見るくらい」となじみがなかったが、「救世主になってくれ!っていう監督の熱意にやられた感じ」と笑い合う。

すり足の稽古に励む宿毛高の女子部員。土俵から足を離さずに動けるようになってきた(宿毛市の同校)

すり足の稽古に励む宿毛高の女子部員。土俵から足を離さずに動けるようになってきた(宿毛市の同校)

 四股に股割り、すり足…。稽古はまだ基礎段階だが、7月からはまわしも締めた。「きつくて、しんどいけど、みんなで打ち込むって、高校生っぽい」と5人。沢田監督は「楽しさを知ってもらうところから。希望があれば大会の土俵にも立たせてあげたい」と話す。

歴代部員の名札が掲げられていた壁には、女子部員の名が並ぶ(宿毛市の宿毛高)

歴代部員の名札が掲げられていた壁には、女子部員の名が並ぶ(宿毛市の宿毛高)

 2019年の高知農の2人から始まった県内高校女子相撲は、2校6人に増えた。7月には室戸中2年の坂本涼奈が全日本女子岐阜大会で3位に入るなど、全国級の選手も出てきている。

 女子の活況は、男子3校でお家芸の灯を守る、県高校相撲界の起爆剤となるか。県女子相撲普及委員長も務める高知工の田所伸一郎監督は「女子の活躍は男子の刺激にもなる。夢や目標に向かう彼女たちの手助けをしたい」。9月には中高生で争う県女子選手権が行われる。(横田宰成)

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