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2023.08.11 08:00

小社会 プレミアム席

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 東北三大祭りの一つ「青森ねぶた祭り」は「跳人(はねと)」と呼ばれる踊り子が舞う。地元の芸能史によれば、その踊りは「長い冬の忍従から解放された歓喜を爆発させたもの」。もともとは、地元の人が自分たちのために踊った。

 ただ、祭りが観光資源になった戦後、ねぶた細工が巨大化。資金力のある企業への依存度が増し、興行的な要素も濃くなっていく。そしてついに現れたのが、富裕層向けの価格100万円のプレミアム観覧席(最大8人)。

 同様の席は他の祭りでも相次ぐ。京都の祇園祭で1席40万円、お隣の阿波おどりも20万円席を構えた。人件費や資材費が上がり、運営が厳しいことも一因のようだ。

 これが売れている。主催者も助かる。なので結構なことだが、祭りのキーワードといえばやはり「大衆」や「粋(いき)」だ。お金のにおいに興ざめする人はいるかもしれない。

 よさこいはどうだろう。じんまもばんばも、小さな子どもも踊る祭りである。何より、踊り子は自分が楽しむために参加する。この趣旨はずっと揺らいでいない。観客はそれを勝手に見て楽しむという体裁だ。プレミアム席はなじまないだろうなと思いながら、きのう家の近くの愛宕競演場に出向いた。雨もあったが十分堪能できた。

 もっとも、よさこいも運営費や参加費が高騰中。その対策で、来年あっさりとプレミアム席が登場したりして。まあ「自由」が持ち味の祭りでもある。それはそれで―。

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