2023.07.21 05:00
「9」をめぐる冒険 身近な数も奥が深い 【数からの挑戦状#4】★解説動画連動★
「9」の不思議
数学の世界にある、いまだに解けない問題や不思議な法則を、科学ライターの井筒智彦さんが毎月紹介します。古代から現代まで、人類が数と格闘した歴史も垣間見えます。
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今回は「9」をめぐる冒険に出かけましょう。
九九に「9の段」がありますね。
例えば、9×2=18、9×3=27、9×4=36。
ここで、答えの十の位と一の位の値を足してみてください。1+8=9。2+7=9。3+6=9。
あれ? どれも「9」になりますね。
九九の範囲を超えても同じことが起こります。
何でもいいので好きな数を一つ選んで、「9」をかけてみてください。
その答えの各桁の値を足します。合計が2桁以上だったら、再び各桁の値を足し、1桁になるまで繰り返します。
すると、最初にどんな数を選んでも、最後は必ず「9」になるのです。
表に例を載せています。
面白いことに「9」以外の数では、そうはなりません。不思議ですね。
これを逆さまにした性質もあります。
とある数の各桁の値を1桁になるまで足した結果が「9」であれば、その数は何かある数に「9」をかけた数になっています。つまり、その数は「9」で割り切れます。
これを使えば「9」で割り切れる数をすぐに見破る必殺技になります。
では、234、1997、1998は? 割り算をしなくても、各桁の足し算だけで簡単に分かりますね。
なぜ「9」にはこうした不思議な性質があるのでしょうか。
どうも数を0から9までの数字で表すこと(十進法)と関係しているらしいです。もしも8と9のない世界だったら、「7」が同じような不思議な数になるんだとか。
身近な数も奥が深いんですね。気になる人は、さらに「9」を追求してみてください。(文・科学ライター・井筒智彦、監修・谷口隆神戸大大学院教授)
※井筒さんが出演して、より分かりやすく解説している動画があります。YouTubeで「数からの挑戦状」と検索してみてください。
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いづつ・ともひこ 1985年東京都生まれ。東京大大学院博士課程修了。宇宙プラズマの乱流輸送現象を世界で初めて実証。米航空宇宙局(NASA)人工衛星の解析チーム入りを辞退し、広島県北広島町に移住。「限界集落から宇宙へ」を合言葉に町おこしに取り組む。
たにぐち・たかし 1977年兵庫県生まれ。東京大大学院博士課程修了。プリンストン大客員研究員などを経て神戸大大学院理学研究科数学専攻教授。専門は整数論。著書に「子どもの算数、なんでそうなる?」(岩波書店)。
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