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2023.07.19 05:00

小社会 万博の熱

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 歌手の故三波春夫さんは、きょう19日で生誕100年になる。国民的歌手。そう呼ばれた理由には「東京五輪音頭」、1970年大阪万博のテーマ曲「世界の国からこんにちは」のヒットもあろう。

 ご存じ三波さんが〈♪こんにちは〉と歌えば、〈♪こんにちは〉と児童合唱団のコーラスが入る。未来に夢を託し、未来を生きる子どもたちと歌う。長女、美夕紀さんの著書によると、三波さんは「生涯の宝物」と語った。

 戦後日本の青春期―。高度成長期だった昭和の東京五輪から万博の時代はそう評される。家電製品が暮らしを豊かにし、未来への高揚感があった。もっとも、一方では米ソ冷戦や公害も。明るいだけの時代でもなかったか。

 当時の通産官僚として万博に携わった作家、故堺屋太一さんは生前、万博を「また開いていいのでは」と書いている。ただし、もう青春期とは違う。「成熟した社会の知恵と活力につながる〝好老社会の万博〟になれば」(「戦後70年 日本人の証言」)。

 開催まで2年を切った大阪・関西万博のいい話が聞こえてこない。資材価格の高騰や人手不足にあえぐ建設業界。各国・地域のパビリオン建設が遅れる恐れが報じられる。間に合わないとすれば、「こんにちは」どころではなくなる。

 「いのち輝く未来社会のデザイン」。テーマは堺屋さんの考えにも似てはいるのだろう。ただ、地方にもまだ熱が伝わってこないのも気になる。

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