2023.06.30 12:16
【6/30追記】朝ドラ「らんまん」の祖母タキ役、松坂慶子さんからコメントが届きました!「タキさんは幸せ」「最後の桜のシーンは、高知で撮影しました」
松坂慶子さん演じる万太郎の祖母、タキ©NHK
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4月の第1回放送から出演し、厳しくも優しい万太郎のおばあちゃんを演じている松坂さん。土佐弁も素晴らしく、本当に高知の強い女性「はちきん」そのままです。
体が弱くなってからも「草の道が海の向こうにもつながっちゅうがじゃろう」などと、万太郎の夢を応援する演技には胸を打たれました。
NHK広報局を通じて届いた松坂さんのコメントは、松坂さんの好きなシーンや撮影現場の雰囲気について、6月26日放送回に出演した高知県出身の演歌歌手、三山ひろしさんとのエピソード、そして第13週「ヤマザクラ」で天国へ旅立ったタキを演じての思いなど盛りだくさんです。どうぞ!(楠瀬健太)
「らんまん」への出演が決まった際の心境はいかがでしたでしょうか。
ドラマの舞台の高知は日照時間も長くておおらかな土地柄だと思ったので、厳しい中にも、高知の人の、はちきんらしい明るさ、勝負強くて快活で気のいい性格で負けん気が強い、ちゃきちゃきのおかみ、という感じでスタートできればと思いました。
©NHK
タキさんの時代はコロリが襲った直後の時代でしたが、この3年間のコロナで大変だったので、現代との合せ鏡的なところもありますね。
タキさんは家を支えていかないといけないという男勝りな勝ち気な厳しいところと、情のあるところがあるけれど、両方が嘘ではなくて両立していて拮抗(きっこう)して、そういうふうになるといいと思いました。どんなに厳しいことを言っても愛情にひも付いていることで、何としても家を守るという、そういう役柄だと伺いました。
「らんまん」放送が始まってから、周囲の方の反響はいかがでしたか。
万太郎は病弱で本当に立派に成長するのか心配だし、重い気持ちも抱えながらやっている1週目、2週目だったのですが、出来上がった作品を見るとオープニングの自然や、神木隆之介さんの明るさや快活さ、全体の造りがとても朝ドラらしくて。見てくださる方が、タキさんを怖がらないで、受け入れてくださって本当に良かったと思いました。
©NHK
愛情深い女性的なところが第 1 回の初登場シーンで仏壇に手を合わせるところだけで、あとは叱っている厳しいシーンばかりだったので、最初のシーンは大事に演じました。
私自身は、どちらかというと、昨年放送のあった、土曜ドラマ「一橋桐子の犯罪日記」(NHK)で演じた桐子さんのほうが近いと思うんです(笑)。今回は自分とは全く違う役柄を演じなければいけなくて、厳しく怒るシーンの撮影の日なんか、帰っても真っすぐ歩けないくらいへとへとになっていましたね。
家族や子供に先立たれて、そしてまた自分も大事な人を残して逝(い)く、という経験は自分にはないんだけれども、 自然と切なさが分かって無理なく演じられたのが不思議でした。やはり脚本の力や演出家のアドバイスのおかげですね。
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神木さんは、みんながいい気持ちで仕事場にいて、いい集中の仕方が出来るような雰囲気づくりを常にしてくださっていました。
三山ひろしさんは、さすが演歌の実力のある方だなぁと、とても通る声で寿恵子さんの着物を選ぶのにも、堂々としていらして印象的でしたね。それと、みんなで前室でけん玉を教えていただいて、認定証も頂いたんですよ。
(番頭の)市蔵役、小松利昌さんはとても大きなお声で「よろしゅう」と言っていらして、最初のころは競うように大きな声でやっていましたね。タキさんは第12週以降になると歳も取って病気もあって弱ってくるんだけど、市蔵さんが私の分まで活気づけてくださるのが、楽しいというかおかしかったですね。
(万太郎の姉の)綾を演じる佐久間由衣さんも、とても土佐ことばも一生懸命やっていらして、本当に役を生きているという感じがしました。
【以下、6月30日追記】
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第 13 週、65回の大座敷のシーンではタキが分家に謝りました。お殿様が土佐を出ていくというような時代の移り変わりをだんだん感じているのだけれども、この時は、「本家・分家と言っていて悪かった、これからは上下の別なく互いに手を取って商いに励んでほしい」というタキさんの変貌っぷり。柔軟な気持ちや時代のことも理解して、歳を重ねていったタキさんも素敵ですね。
同じ回で、万太郎にお礼を言うところがあります。これは一貫したタキさんの気持ちだったと思います。天寿を全うする時期に来てしまったけれど、かけがえのない孫の万太郎であり、そういう存在を得ることができたタキさんは幸せだと思います。
そして、最後のシーンは桜の開花時期に合わせて高知で撮影しました。立派な桜がとてもきれいでしたね。万太郎と一緒に見ていた桜は病気で直すことは出来ないけれど、挿し木をして残した桜がいつか咲き誇るように、というせりふにもあったように、タキさんの晩年が、孫の万太郎の成長ぶりを楽しみにしているという、当時の女性の一生を演じられたなと思いました。
タキさんはついにこの世を去りましたが、万太郎と寿恵子、綾と竹雄のそれぞれの夫婦が新たな時代を作っていきます。その様子を楽しみに今後も『らんまん』を見て頂ければうれしいです。