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2023.06.19 08:00

小社会 解散のネーミング

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 近いうち、死んだふり…。戦後の衆院解散には、時の政治状況にちなんだ名前がついている。中でも有名なのは1953年春、本県選出の吉田茂首相による「バカヤロー解散」だろうか。

 右派社会党、西村栄一衆院議員の粘着質な質問に対し、つぶやいた暴言とされる。すぐさま吉田氏は、「明らかに不穏当と思うから取り消します」。西村氏も「70を過ぎた一国の総理が取り消された以上、私は追及しません」。その場は取りあえず収まったらしい。

 ところが、自由党内の抗争もあり「バカヤロー」は内閣不信任案の可決に至る。この時は前年の秋に総選挙をやったばかり。西村氏は後年、「私はみんなに恨まれた」(「〝吉田茂〟人間秘話」文化創作出版)。

 岸田首相自らもあおったという「解散風」がひとまずやんだ。「バカヤロー」ほどではないが、まだ衆院議員の任期は折り返してもいない時期。「今なら勝てる」というだけの理由なら、「自己都合解散」とでも命名されただろうか。

 今の国会では、うやむやにされたままの有権者の判断材料が多い。少子化対策も、財源を明示しなければ空手形にすぎない。旧統一教会と自民党の関わりや、放送法の解釈を巡る公文書の問題もけりはついていまい。「旧文通費」の見直しはまた先送りか。

 次の解散政局は秋以降だという。くれぐれも国会論議と説明を尽くし、少しは命名に納得できるタイミングで願いたい。

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