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2023.06.13 08:00

小社会 ゆでガエル

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 「ゆでガエル」の寓話(ぐうわ)を耳にし始めて久しい。カエルは熱湯に入れると熱さに驚いて跳び逃げる。ところが、ゆるやかに水を熱していくと変化に気づかず、行動を起こせずにゆで上がる―。

 何やら鍋に火をかけられても危機を感じず、「いい湯だな」とくつろぐカエルが目に浮かぶ。ただ、科学的な話ではないらしい。手元の児童書も「大人が使う格言」とし、徐々に熱しても「実際はすぐに跳び出すそうです」。

 ともあれ、ビジネス界では変化に対応できず、やがて破滅に至る組織の比喩として使われる。政治では、少子化対策が当てはまるのかも。先送りできない課題なのに長い間、効果的な手を打てず徐々に危機が深刻化した。

 岸田政権が「骨太方針」の案を示した。「異次元」をうたう少子化対策の裏付けになる財源の確保策は、結論を年末に先送り。防衛増税に続く結論の持ち越しで、国民の負担がどう増すのか具体策はなかなか見えてこない。

 永田町に解散風が吹いている。本紙に出ていた「首相は衆院選を見据え、批判リスクをことごとく除去している」という自民党幹部の解説に戸惑う。いつから有権者の判断材料を隠す不誠実な選挙が当たり前になったのか。ということは、選挙が終われば国民の負担増という鍋の温度を一気に上げるのだろうか。

 物価高騰で鍋の水はすでに熱めともいえそうだ。政治の動きには敏感に反応するカエルでいなければ。

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