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2023.05.30 08:00

小社会 美しい5月の終わり

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 美しい5月が終わる。6月を待たず梅雨に入ってしまった。晴れた日が愛(いと)おしく、休日であればなおさらだ。

 そんな晴れた休みの日には、ゆっくり歩いて牧野植物園に行く。自宅は五台山のふもとにあるから、散歩以上登山未満と称している片道1時間ほどの楽しみだ。

 今年のゴールデンウイークはたくさんの観光客が植物園を訪れた。渋滞対策として県の観光部局などは高知新港からシャトルバスを運行した。そのことが功を奏して、五台山の狭いくねくね道で大きな渋滞は起こらなかったという。

 シャトルバスには観光ガイドも乗り込み、その車中の案内が観光客に「とても良かった」と好評だった。植物園の駐車場が不足しているという不便を面白さに変換する。粋な計らいである。こうしたもてなしを着実に積み重ねていきたい。それは多くの人の心に長く留まり、ブームではなく定着につながっていくだろう。

 五台山を歩いて登る楽しみも知ってもらいたい。竹林寺へと通じる遍路道は完全ではないものの残っている。新緑の木陰が続く古道の風情が漂う道で、時間がゆったり流れる。気軽な歩き遍路である。

 竹林寺で日々の平穏を願うお参りをしてから、植物園を散策する。薫風を感じながら、さまざまな春の花を眺める。あふれる新緑が心身を洗う。悲しみと喜びをさておくようにして、美しい5月の風が吹き抜けていった。

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