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2023.05.27 08:00

小社会 福永親子の物語

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 高知市出身の中央競馬の往年の名騎手、福永洋一さんをたたえる「福永洋一記念」が30日に高知競馬場で開かれる。今年で14回目。レースの発案者でもある息子の祐一さんが先日来高し、PR動画に出演していた。

 天才と言われながら落馬事故で騎手生命を絶たれた父。その背中を追い、トップ騎手になった息子。競馬界以外にも知れ渡る福永親子の物語は、今春から新章に入っている。祐一さんは騎手を引退して調教師に。「乗る人」から「育てる人」になった。

 近年も好成績を続けていただけにファンを驚かせたが、かねて馬の育成に興味があり、「もっと一頭の馬に深く関わりたい」という。動画では引退を高知のファンに報告。「やりきった」と笑顔を見せていた。

 さて、寂しいのは県内のファンか。地元にルーツがある騎手には愛着がわく。迷ったら福永から―。そんな馬券の選び方ができなくなったとの嘆きはまんざら冗談ではないのかも。ともあれ、福永家の挑戦にはエールを送りたい。

 祐一さんで忘れられないレースといえば、やはり2018年の日本ダービーだ。全ホースマンが憧れる競馬の祭典。そこでなかなか勝てず、挑戦19度目にして、父も届かなかった悲願を達成した。馬上で涙する姿は競馬史の名場面として残る。

 ことしのダービーは、あす。鞍上(あんじょう)は騎手一家出身者も少なくないようだ。レースに「親子の物語」を重ねる楽しみ方もある。

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