2024年 04月28日(日)

現在
6時間後

こんにちはゲスト様

高知新聞PLUSの活用法

2023.05.25 08:00

小社会 持ちつ持たれつ

SHARE

 きのう高知市の升形商店街を通りかかると、ツバメのひなが元気な声を響かせていた。商店街の皆さんがツバメが営巣しやすい環境を整えたと先日の本紙にあった。そのかいあって卵がかえり、すくすくと育っているようだ。

 ツバメは古くから福をもたらす鳥とされてきた。害虫を食べ豊作に貢献。人は風雨や暑さをしのげる軒下などを営巣の場として提供してきた。ツバメも人の近くで過ごせば、カラスやヘビなどに襲われる危険性が減る。うまくできた「持ちつ持たれつ」の関係ではないだろうか。

 秋にはいま育っているひなも東南アジアなどに渡り、来春は親鳥として再び日本にやって来る。また次の福をもたらしてくれる。大切にしていきたい関係である。

 ところが近年、それがゆがみ始めていると聞く。環境省の調査でツバメの数が減少傾向にあるという。新潟県上越市で繁殖調査を続ける研究者の長谷川克さんは、2020年段階で「体感としては、10年前に調べたときの10分の1も見られない」とする(著書「ツバメのひみつ」)。

 農地や虫の減少、地方の過疎化、気候変動などが背景として挙げられる。人とともに生きている鳥なのだから、人の生活が変われば、暮らしにくくなって当然だろう。

 いや、ツバメが暮らしにくい環境は人自身にとっても…。巣からじっと見下ろすツバメが問い掛けてくるかのようだ。「うちらの関係、どうするのよ」と。

高知のニュース 小社会

注目の記事

アクセスランキング

  • 24時間

  • 1週間

  • 1ヶ月