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2023.05.14 08:00

【闇バイト対策】若者の犯罪加担を防げ

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 人通りの多い平日夕方の繁華街で人目もはばからずに店を荒らす―。東京・銀座の高級腕時計専門店で起きた強盗事件の手口はあまりにも大胆だった。犯行の一部始終は通行人に撮影され、動画を見て衝撃を受けた人も多かったのではないか。
 直後に別の場所の建物への侵入容疑で逮捕され、強盗への関与が疑われる男4人は、いずれも横浜市在住の16~19歳だった。互いに面識はないといい、いわゆる「闇バイト」で集められて犯行に及んだ可能性が指摘されている。
 そうだとすれば、「闇バイト」を使った犯罪の広がりが改めて浮かび上がった格好になる。近年、特殊詐欺や強盗の実行犯をインターネットや交流サイト(SNS)で募り、若者が犯罪に加担する事件が多発している。
 事件は凶悪化する傾向も見え、政府は3月に緊急対策プランを打ち出したところでもある。取り組みを具体化し、実効性を上げていく必要がある。
 指示役が高額な報酬を示してSNSなどで若者を募る闇バイトは、少なくとも数年前からあったとされ、特殊詐欺で現金やキャッシュカードを取りに行く「受け子」を確保するケースが目立っていた。
 国民の不安を高めたのが、昨年から各地で続いた広域強盗事件だ。実行役の多くが闇バイト求人で手配され、都内の高齢女性が殺害される事件もあった。これが、政府の緊急対策プランにつながった。
 ただ、政府のプランがどこまで成果を上げるかは見通しにくい。
 対策では、大手求人サイトにも掲載が広がっているという闇バイト情報の削除や取り締まりの強化を掲げる。だが、投稿主が架空の会社名や連絡先を使ったり、巧妙な表現で犯罪行為を隠したりするなど、管理の難しさが指摘されている。
 犯行に悪用される「闇名簿」対策や、匿名性の高い通信アプリ「テレグラム」の悪用防止なども打ち出したが、方法は示されていない。まだ姿勢を示したにとどまっているのが実情ではないか。
 犯行グループ側の動きの抑え込みに限界があるのであれば、安易に求人情報に応じないようにする若者向け対策の重要性が増す。
 警察庁によると、2022年に特殊詐欺事件で摘発されたのは2469人で、うち20歳未満が約2割を占めた。高校生が131人で、中学生も26人いた。
 公判などで明らかになった元受け子らの証言からは、アルバイト感覚で軽い気持ちで求人に応じた姿が浮き彫りになる。後で抜け出したくなっても、指示役に個人情報を把握されて、身動きできなくなるようなケースもあるようだ。
 政府の緊急プランは、教育現場と警察の連携を通じた若者向け啓発の強化を挙げる。知識不足や、わずかなお金ほしさで犯罪に加担してしまい、一生を棒に振る若者をこれ以上、増やしてはいけない。対策の徹底が求められる。

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