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2023.05.01 15:40

【ぷらっとTOKYO】「JR西八王子駅周辺」 「千人同心」がいた町

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 「八王子千人同心」の像=東京都八王子市

 東京都八王子市の甲州街道沿いに「千人町」という町名がある。江戸時代、ここに「八王子千人同心」と呼ばれる幕府の家臣団が居住していたことに由来する。


 千人同心のルーツは、甲斐国(山梨県)で武田氏に仕えていた家臣たち。武田氏が織田信長らに滅ぼされた後、新たに甲斐国を治めることになった徳川家康に召し抱えられた。その後、家康が関東に入ると、八王子へ移されて主に地域の治安維持を担当。当初は250人ほどだったが、関ケ原の戦いの頃には千人規模になり、幕末には「千人隊」と称した。


 JR中央線を西八王子駅で降り北口を出ると、周辺の歩道に「千人同心」と記されたプレートや、てっぺんが円すい形の車止めが点在する。モチーフは、同心がかぶったかさのようだ。


 甲州街道を渡った所には「馬場横丁」と書かれた碑が立つ。千人隊の拝領馬場へ向かう道があったことを示す。馬場跡の辺りを過ぎ、南浅川の土手に立つと、きれいに整備され、緑豊かな遊歩道のかなたに山々がかすんで見えた。


 次に目指したのは、八王子市役所の脇で浅川に架かる鶴巻橋。橋の上で千人同心像と対面した。腰に刀を差し、目はぐっと正面を見据えている。頭にかぶったかさが、駅前で見た車止めの形と重なった。


 市役所から南下し、陣馬街道を東に折れてしばらく行くと、甲州街道と合流する手前に同心屋敷跡の立派な記念碑が見えた。花や木に囲まれて立ち、大事にされていることが感じられる。


 歩く先々で、千人同心の面影が息づいているのを感じた。彼らとこの土地の、家康の時代にまでさかのぼる縁は今も続いているようだ。


 【メモ】八王子千人同心は、家康を祭る日光東照宮(栃木県)で防火と警備にあたる「日光火の番」や蝦夷地(北海道)の開拓にも携わった。

(c)KYODONEWS

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