2023.05.01 08:35
魅力ある情報伝えたい 越知町観光協会職員 赤山藍里さん(21)高知市―ただ今修業中
「観光客はもちろん、地元の人の力になれるように頑張りたい」と話す赤山藍里さん(越知町の横倉山)
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愛知県犬山市出身。旅行好きの両親に育てられ、週末は家族でよく出かけたという。幼い頃に覚えているのは、大河ドラマの聖地巡りで訪れた彦根城。ゆずドリンクを飲むために、車で片道7時間をかけて馬路村に行ったのも思い出の一つ。「昔から非日常を味わうのが好きで、初めて見るものに興味を引かれるんです」
旅の楽しさを仕事に生かそうと考え、高校卒業後は専門学校に進んだ。縁あって鉄道会社への就職が決まり、2021年8月に高知市へ移り住んだ。
車掌として働いたが、体力的なしんどさもあって1年ほどで退社。ただ、車内で沿線の観光地を案内した際に「お客さんの役に立てたという感覚が何よりうれしかった」と振り返る。
新たな就職先を探そうとした矢先、目に留まったのが越知町観光協会の求人だった。その直前にコスモス祭りを訪れていたこともあり、何か引かれるものを感じてすぐさま応募。昨年12月から働いている。
主な仕事は、町外からの観光スポットやグルメ情報など問い合わせへの対応。牧野博士をモデルにしたNHK連続テレビ小説「らんまん」の放送も始まり、横倉山に関する問い合わせも増えてきた。
事務所にある花図鑑を見て、横倉山に咲く花を少しずつ覚えた。仁淀川にかかる沈下橋やキャンプ場などにも行き、現地の風景をスマートフォンに収め、紹介する時に役立てている。
ある日、問い合わせの電話で「横倉山で見頃の花は?」と聞かれ、「コミヤマスミレがきれいに咲いていますよ」とすんなり答えることができた。「魅力ある情報をたくさん伝え、越知で楽しんでもらいたい」と表情を引き締めた。
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好きな言葉
3月末に開かれた「ぼんぼり桜まつり」では、担当として仕事を任された。3年ぶりの開催となった上、会場は県全域で展開する観光博覧会「牧野博士の新休日」のオープニングイベントの一つに。準備に忙しい日々が続いたが、ある思いが支えになった。
20年の春以降のコロナ禍で、楽しみにしていた地元のお祭りや海外研修などがことごとく中止になった。当たり前にあったものがない寂しさ、悲しさ…。「私と同じ思いを持った人は多かったはず」。楽しみに待つ人のことを思い、踏ん張った。
迎えた当日。大勢の人で会場はにぎわった。「お客さんの笑顔が見られてうれしかった」。この日の感動を忘れずに前へ進んでいく。
写真・森本敦士
文 ・乙井康弘