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2023.04.30 05:00

【コロナ5類移行】警戒は緩めないように

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 政府が新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けを大型連休明けの来月8日から、「5類」に移行することを正式決定した。季節性インフルエンザと同じになる。
 移行後は感染への行政の関わりが弱まり、個人による対応や判断が尊重される。3年にわたるコロナ政策の大きな転換となる。
 ただ不安は感じている人は依然多い。政府や自治体はこの先も感染状況をしっかり監視する必要がある。いざという時の即応はもちろん、きめ細かな情報発信や医療体制の確保などが求められる。
 国内の感染状況は以前に比べれば落ち着いており、毒性の強い新たな変異株も出現していない。それでも毎日、全国で1万人を超える新規感染者が報告されている。死亡する感染者もいる。
 引き続き、密集空間を避けたり、必要に応じてマスクを着用したりするなど基本的な感染対策が欠かせない。特に移行前の大型連休は人の往来が増える。状況を悪化させないよう、いま一度気を引き締めたい。
 新型コロナ対策ではこれまで、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置など強制力を伴う措置がたびたび実施されてきた。行政は入院の勧告や外出自粛要請もできた。
 5類に移行すると、これらの措置や対応がなくなる。行政の積極的な関与がなくなると捉えてよい。 
 感染者数は現在、全国の都道府県の状況が毎日発表されているが、移行後は定点調査に基づき週1回の発表に変わる。入院や外来の医療費も全額公費負担から、一部自己負担が原則になる。
 大きな変更であり、移行後は混乱が生じる恐れがある。政府や自治体には周知を図り、相談体制も整えるよう求めたい。
 外来や入院治療を担う医療機関は本県を含め、増える見通しだ。このうち外来について政府は、現行の全国約4万2千施設から約6万4千施設を目指すとしている。
 ところが、現状では想定通りには増えていない。移行時は現行より約2千施設増の約4万4千施設にとどまる見通しという。
 理由の一つに、院内の感染対策にコストがかかる一方で、これまで手厚かった対応医療機関への診療報酬の特例措置が縮小されることがあるようだ。新型コロナは季節性インフルエンザより感染力が強く、高齢患者が多い医療機関は院内感染への警戒が強い。入院患者受け入れにも共通する課題だ。
 専門家からは、ことし「第8波」を上回る感染拡大「第9波」が起きる危険性が指摘されている。水際対策の大幅緩和により、新たな変異株が広がる恐れも常にある。
 こうした状況では再び医療逼迫(ひっぱく)が起きかねない。政府や自治体に引き続き緊張感を持った監視や対策が求められるゆえんだ。
 移行によって警戒が緩むことがあってはならない。経済を着実に回復させていくためにも、感染を抑え続けていく覚悟が必要だ。

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