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2023.04.21 04:59

【小堺一機の楽しみかけ流し #8】笑い声を聞き分けろ! 本当にウケてるかい?

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 「欽ちゃんのどこまでやるの!」に出演していた関根勤さん(左)と筆者。役名はクロ子とグレ子

 毎日「楽しいことばかりやっている」と言うタレント・小堺一機さんが見聞きしたことや、日々考えていることをつづる連載第8回。


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 26歳で1976年から約10年続いた伝説のバラエティー番組「欽ちゃんのどこまでやるの!」(テレビ朝日系、欽どこ)にレギュラー入りして、本当にいろんなことを“大将”こと萩本欽一さんから教わり、盗み、勉強をさせてもらいました。


 「欽どこ」は毎週火曜日リハーサル、水曜日が本番でした。リハはだいたい午後1時くらいから始まり、大将が納得したら終了で、8~9時間くらい。本番の日は11時くらいにテレビ朝日の旧社屋にあった喫茶店に集合して、大将を囲んでスタッフ、キャストで雑談をしてからの本番という流れでした。


 この“雑談”が宝の山で、リハ、本番以上に“いい話”を聞けたんです。その中でも特に心にグサリときた言葉があります。「今の若い芸人たちは、お客が笑っていると『ウケてる!』と思っているんだよ。笑ってはいるけれど、それは芸がひどくて苦笑しているかもしれないし、見てらんなくて嘲笑してるのかもしれない。本当にウケているかどうか、笑い声を聞き分けていない。(お客が)バカにして笑ってるのもウケていると思っちゃう」という話をしてくれました。


 考えたこともない、「笑い声を聞き分けろ」という教えに目からうろこでした。それから舞台に立つたびにそれを気にしていたら、少しずつ少しずつ、「あっ、本当はウケてないな」「これは本当にウケてるな」と笑い声の違いを感じられるようになりました。


 これはもう理屈ではなく“感覚”ですが、「欽どこ」レギュラー入りから41年、最近の交流サイト(SNS)や芸能界でも同じことを感じます。注目されているから人気がある? 「いいね」が多いから好かれている? 「有名だ」はどう有名なのか?!


 「悪名は無名に勝る」がまかり通る時代、僕はよりいっそう、“世の中の声を聞き分ける”ことに気を配ろう。「目立っていりゃそれでいい」ではなく、本当にウケているかい?と自問しながらまだまだ精進です。(タレント)


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 こさかい・かずき 1956年千葉県生まれ。84~2016年「ライオンのごきげんよう」などフジテレビ系昼のトーク番組を司会。単独トークライブ「小堺一機とおしゃべりLIVE」開催(不定期。オンライン配信も)。著書に「映画はボクのおもちゃ箱」。

(c)KYODONEWS

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