2023.04.17 16:01
古文書修復に「阿波和紙」を活用 徳島県がウクライナに無償提供
「阿波和紙」を使って史料を修復するウクライナ国立歴史公文書館の職員=13日、ウクライナ西部リビウ(共同)
ウクライナ西部リビウの国立歴史公文書館で、古文書の修復に徳島県から無償提供された伝統的な和紙「阿波和紙」が活用されている。従来使っていたロシア製の紙が侵攻で調達不能となったため。戦時下では歴史的史料が損失しかねないが、館長は「次世代に残す責任がある。保存への支援に感謝している」と強調した。
リビウの歴史公文書館は12世紀以降の裁判記録や行政文書など100万点以上を保管。ウクライナの公文書館の中で最も古く、オレシア・ステファニク館長(50)は「歴史的に貴重な品が多いのが特徴」と紹介した。
2度の大戦を経て劣化が進んだ古文書の修復には主にロシアで生産された紙を使用してきたが、昨年2月の侵攻後、仕入れられなくなった。館員が日本の伝統的工芸品に指定されている阿波和紙の存在を知り、徳島県に支援を求めた。
和紙を修復に使ったことはなかったが、ステファニク館長は「大戦下でも先人は手を尽くし、歴史を残した。私たちもどうにかしたいと考えた」と説明した。