2024年 04月28日(日)

現在
6時間後

こんにちはゲスト様

高知新聞PLUSの活用法

2023.04.10 08:00

【県議選】県民との距離を埋めよ

SHARE

 県内統一地方選の前半戦となる県議選は、きのうの投開票で25人が当選し、無投票当選の12人を加えた新たな県議37人が決まった。
 高知県を取り巻く状況は深刻さを増している。人口減少は進み、昨年の出生者数は全国最低だった。中山間地域の疲弊も鮮明だ。地域経済は新型コロナウイルス禍からの早期回復が求められ、南海トラフ地震への備えも怠ることができない。
 悠長に構えていられる状況ではない。住民の声を拾い、県政の取り組みに目を光らせ、必要に応じて政策提言もしていく―。新議員は改めて役割を自覚し、気持ちを引き締めて臨んでもらいたい。
 自民党会派は過半数割れした。ただ他会派の公認候補を含めると過半数を維持しており、自民が議会運営を主導する構図は続くとみられる。
 自民は、過半数を奪還した2011年、「県勢浮揚への責任」を強調し、議会改革も高々と掲げた。その志は保てているだろうか。主導権を握った状況に慣れると、緩みや独善も生じやすくなる。昨年の世界平和統一家庭連合(旧統一教会)問題を巡る意見書の扱いは、党利がいびつな形で表面化した。
 執行部と丁々発止だった橋本県政を知る自民議員もわずかになり、チェック機能の衰えが懸念される。議員の経験、力量不足を問われるケースも増えている。自民は、最大勢力が果たすべき役割を問い直すとともに、人材の育成も急ぐべきだ。
 今回は県内17選挙区のうち過去最多の9選挙区が無投票になり、有権者は投票の機会を持てなかった。無投票の増加は、地域の疲弊による人材難が一因だろうが、国政の自民1強が続く中、郡部の1人区は与党系候補に有利な構図になってしまうことも影響していよう。
 だが、2人区も三つが無投票になり、そこに公認・推薦候補を構えられなかった野党勢は、擁立にベストを尽くしたと言えるだろうか。有権者に選択肢を提示できない責任を重く受け止めるべきだ。
 女性候補は9人だった。構成比約17%は全国並みだったが、到底高いとは言えない。議会構成に多様性を欠けば、時代に応じた幅広い課題をカバーするのが難しくなる。
 無投票を減らすための選挙制度改革や、女性を含めて多様な人材の進出を促す議会改革の取り組みは、全国各地で模索が続く。県議会もしっかり検討してもらいたい。
 投票率は41・29%で、最低だった前回を5ポイント余り下回った。極めて厳しい結果だ。県議会への関心の低さが浮き彫りになった。
 この数年はコロナ禍で活動が制約された。また、選挙戦の争点も乏しく、有権者が興味を持ちにくかったのは事実だ。有権者側の意識にも課題はあるだろう。
 だが、県民が目を引くような活動ができたのか。地域活動をもっとできなかったのか。県議会は、県民との距離を埋めるよう努めたのか、まずは自らを省みるべきだ。その上で次の任期に生かす必要がある。

高知のニュース 社説

注目の記事

アクセスランキング

  • 24時間

  • 1週間

  • 1ヶ月