2023.04.07 05:00
小社会 自業自得
関連本をいくつか読むと、世界には多彩なたとえがある。アジアのことわざは分かりやすい。インドネシアでは「盆の水をたたけば、顔にしぶきがかかる」。モンゴルなら「自分で投げた石が自分の頭に」。
欧州では、種まきと収穫にたとえた表現が多くなるようだ。デンマークでは「憎悪をまいた者は後悔を刈る」。ロシアでも「風をまく者は嵐を取り入れる」(北村孝一著「比べてみると…日本と世界のことわざ」)。
ロシアにとっては、嵐を取り入れる自業自得になったように映る。北欧フィンランドが北大西洋条約機構(NATO)に正式に加盟した。市民を悲劇に巻き込んできたウクライナ侵攻。当初から現地では「ロシアの化けの皮が剥がれた」との警戒感が強まったと報じられた。
気になるのは、北欧の中立外交の転換でNATOとロシアが対峙(たいじ)する最前線の国境が2倍以上にも伸長したことか。ロシアは「安全保障と国益に対する侵害」と対抗措置の正当化に余念がない。
市民を巻き込む悲劇が広がるような緊張が高まらぬよう。戦火の下で為政者による業の報いを受けるのは、いつの世も名もなき人々になる。