2024年 04月28日(日)

現在
6時間後

こんにちはゲスト様

高知新聞PLUSの活用法

2023.04.07 05:00

小社会 自業自得

SHARE

 自業自得という言葉は、もとは善悪両方の意味を持っているそうだ。業とは行い、カルマのこと。一般には、自らつくった悪の業の報いを自身で受けるという語感が強いだろうか。日本には似た意味のことわざに「身から出たさび」がある。

 関連本をいくつか読むと、世界には多彩なたとえがある。アジアのことわざは分かりやすい。インドネシアでは「盆の水をたたけば、顔にしぶきがかかる」。モンゴルなら「自分で投げた石が自分の頭に」。

 欧州では、種まきと収穫にたとえた表現が多くなるようだ。デンマークでは「憎悪をまいた者は後悔を刈る」。ロシアでも「風をまく者は嵐を取り入れる」(北村孝一著「比べてみると…日本と世界のことわざ」)。

 ロシアにとっては、嵐を取り入れる自業自得になったように映る。北欧フィンランドが北大西洋条約機構(NATO)に正式に加盟した。市民を悲劇に巻き込んできたウクライナ侵攻。当初から現地では「ロシアの化けの皮が剥がれた」との警戒感が強まったと報じられた。

 気になるのは、北欧の中立外交の転換でNATOとロシアが対峙(たいじ)する最前線の国境が2倍以上にも伸長したことか。ロシアは「安全保障と国益に対する侵害」と対抗措置の正当化に余念がない。

 市民を巻き込む悲劇が広がるような緊張が高まらぬよう。戦火の下で為政者による業の報いを受けるのは、いつの世も名もなき人々になる。

高知のニュース 小社会

注目の記事

アクセスランキング

  • 24時間

  • 1週間

  • 1ヶ月