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2023.04.02 08:00

小社会 水道管

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 高知市の水道局が大地震に備えて、庁舎を市西部に移した―という記事が先日載っていた。平時も非常時も上水と下水を適切に管理する対策はとても大切だ。

 昭和40年代、石綿セメントの水道管の漏水率はかなり高く、浄水場から100トンの水を送っても各戸の蛇口に届くまでに34トンが漏れていた。巨費をかけた対策で漏水は改善し、今は耐震化が進む。水も電気もインターネットによる通信も、今の暮らしはさまざまな回線や回路なしには成り立たない。

 では、こちらの回路はどうか。かつて哲学者の鷲田清一さんが「もう深く恥じ入るほかないのだが…」と、ある一文を本紙に書いていた。いわく、地元の地方議員の名前を自身が一つも挙げられないことにがく然とした、恐る恐る周りの人に議員名を何人挙げられるか聞くと、皆一様に「…」となった、と。

 多くの市民と共に、地べたに近いところから物事を探究してきた方の正直な告白。議員と市民の「回路」がなぜこうも見えないのか、つながっていないのか、鷲田さんは多くの著述で論考している。

 回路には経費も要る。例えば高知県議会の予算は4年で40億円以上、それと別に県議選費用に6億円余りを計上する。

 うまく機能していればよしとすべきコストだが、そうでなければ…。水道管が壊れていたら直す。どうもある種の機能不全らしい「民意の回路」を修繕するには、私たち自身の努力も要るようだ。

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