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2023.03.25 08:00

【中ロ首脳会談】世界の分断を助長するな

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 ロシアの隣国で、友好関係も保っている中国がウクライナ和平を強く働きかける―。一時はそんな期待も寄せられたが、失望に変わったといえそうだ。
 中国の習近平国家主席がロシアを公式訪問し、プーチン大統領と会談した。非公式も含め、2日間で約10時間に及ぶ会談だった。
 その結果、両国はウクライナ和平より、ウクライナを支援し、ロシアに経済制裁をかける西側諸国への対抗姿勢を鮮明にした。対西側でより強く結束した、と言っても過言ではないだろう。
 これでは和平はますます遠のき、国際社会の分断も深まる。改めてロシアの即時停戦とウクライナからの撤退を求める。
 中国はロシアの蛮行を許すのではなく、いさめ、諭すのが真の友好国ではないのか。いまからでも説得してもらいたい。そうすれば国際的な評価も高まるはずだ。
 ロシアのウクライナ侵攻は1年が過ぎ、戦況は泥沼の様相を呈している。犠牲者数も悲劇的である。
 中国は2月、ロシアとウクライナの双方に停戦と外交的決着を促す問題解決案を発表した。今月に入ってからは、中東のイランとサウジアラビアの関係正常化を仲介し、成功したことも明らかになった。
 そんな中での中ロ首脳会談が注目されたのは当然である。ところが、両氏が署名した共同声明が公表されると、国際社会は落胆した。
 声明でロシアは、中国の解決案を「建設的」とし、中国もロシアに和平交渉再開の用意があることを評価した。互いを持ち上げたが、和平の具体化には踏み込まなかった。
 中国は、西側諸国を意識するかのように「緊張を高め、戦闘を長引かせる行為の中止」を要請。一方的な制裁に反対を表明した。プーチン氏も会談後、和平が進まないのはウクライナや西側が原因かのような発言をしている。
 声明はさらに西側による中国包囲網も意識。北大西洋条約機構(NATO)がアジア太平洋諸国と軍事的な関係を強化し、「地域の平和と安定を破壊している」とした。
 台湾問題にも触れ、ロシアが「一つの中国」原則を堅持すると表明。中国が主権と領土保全のために取る行動を「断固支持する」とした。それぞれが抱える問題に互いが後ろ盾になると言わんばかりだ。
 両首脳は、エネルギー分野などの経済協力を発展させる共同声明にも署名した。西側の圧力に対抗して、経済面でも中ロで手を取り合おうとしているのが分かる。
 このままでは中ロはこの先も国際社会の支持は得られまい。それを自覚すべきである。
 同時に西側諸国も冷静な対処が求められる。ウクライナに早く平和を取り戻すのはもちろん、新たな火種をつくったり、分断を加速させたりしないようにしなければならない。国連安全保障理事会の非常任理事国であり、先進7カ国(G7)議長国である日本も役割は大きい。

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