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2023.03.21 08:34

郷土の味「チャーくん」次代に おおどち食堂(香美市)

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チャーテのしば漬け「チャーくん」の調理に励む「おおどち食堂」のメンバー(香美市物部町大栃の大栃中学校)

チャーテのしば漬け「チャーくん」の調理に励む「おおどち食堂」のメンバー(香美市物部町大栃の大栃中学校)

 山に囲まれた香美市の物部地域。その中心部にある大栃中学校の調理室を拠点に、郷土料理「チャーくん」の製造販売に取り組んでいる住民グループが「おおどち食堂」だ。

 メンバーは50~70代の女性十数人。手作りの赤いエプロンと帽子を身に着け、月1回程度の頻度で学校に集まる。「おおの、今日は冷やいねえ」「前に家で作った料理がよ…」。おしゃべりに花を咲かせながらも、手際よく調理を進めていく。

 チャーくんは、チャーテ(ハヤトウリ)のしば漬け。チャーテは県内山間部の家庭で栽培されてきた野菜で、物部地域では1970年ごろからしば漬けに加工され、冬場の保存食などとして重宝されてきた。

 しかし近年、過疎高齢化で作り手がいなくなり、しば漬けは幻の味に。その復活を考えたメンバーは、かつて県の農業改良普及所などが配布したレシピを見つけ、2021年に大栃中学校の生徒とともに試作を開始。1年ほどかけて新レシピを完成させた。

 住民に分けてもらったり安く譲ってもらったりしたチャーテのほか、大根、キュウリ、ニンジンなどを塩に漬けて水気を抜く。ざらめや米酢、梅酢など約10種類の調味料で丁寧に味付けすれば出来上がり。22年に地元の直販所で販売を始め、少しずつ知名度が上がってきた。

 同年に地元で開催したウオーキングイベントでは、中学生が参加者にチャーくん入りのおにぎりを配り、大いに喜ばれた。メンバーは「中学生と一緒に活動できたのがうれしい。作り方を忘れないでいてくれたら何よりです」と手応えを口にする。

 このほか、市の地域づくり支援員の依頼でイベント用に弁当を作ったことも。その際には「物部の食卓に並ぶ料理を味わってもらおう」と、サツマイモとサトイモで作る伝統菓子「けんかもち」やユズ皮の煮物といった郷土の味をたっぷり取り入れ、老若男女を問わず好評を博したそうだ。

 学校に拠点を置き、中学生と連携して活動する女性たち。根幹にあるのは、地域の活力である子どもへの思いだ。代表の森本ちづさん(74)は、こう力を込める。「子どもたちと関わりながら、郷土の味を次の世代へつなげたい」(香長総局・福井里実)

 【メモ】香美市は2006年、土佐山田町、香北町、物部村が合併して誕生。物部地域は10年に県立高校が閉校し、現在は保育園と小中学校のみになった。「チャーくん」は奥物部ふるさと物産館(同市物部町大栃)の直販所「ふるさと市」で、140グラム入り300円(税別)で販売している。

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