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2023.03.02 08:43

野根川の正月きた!稚アユ目線で感じる水中 御処野誠―魚信 はっぴぃ魚ッチ

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海から野根川に上ってきた稚アユ

海から野根川に上ってきた稚アユ

    2014年11月、地域おこし協力隊として東洋町に引っ越してきた。任期は3年。僕が定住を選んだ理由は「野根川に惚(ほ)れたから!」。子どものころから川好きで、関東を中心にいろんな川でアユ釣りをして、たくさん川の雰囲気を体感してきた。しかし、野根川を超える川には出合ったことがない。

 よく「他の川と何が違うの?」と言われるが、これは直感。時がゆっくりと流れ、懐かしさを感じるような雰囲気が好きだ。

 そんな野根川の1年で、最も楽しみな季節が今。年が明けて春が訪れるまでの間に、小さな稚アユが海から上がってくるからだ。

 僕は暇さえあれば川を見つめる。河口に近い岸際や橋脚の際など、稚アユが通りそうな流れが気になって仕方がない。アユの川での生活のスタートを見たい一心で、時には「まだかなぁ」と水中をのぞく。密漁者と間違われて困ったこともあるが、おかげで「また潜っとる。好きやな~」とあきれ顔のご近所さんと仲良くなれた。

 「寒い中、なぜわざわざ潜るの?」

 よく言われるのだが、僕は稚アユと同じ空間で、肉眼でその姿を見て感動したい。そして「こんな冷たい川なのに元気やな~」「よう帰ってきたね。おかえり」と声を掛けたいのだ。

寒くて震えるが、潜らずにいられない

寒くて震えるが、潜らずにいられない

 大人ですから、最初はぬれないよう気を付ける。でも遡上するアユを見つけてしまうと、もう“魚目線”。水温や水質、水中の変化を魚と同じように感じたくなってしまう。

 みなさんは夏休みに川遊びで潜ることがあると思いますが、真冬の川の中ってご存じでしょうか?

 夏の騒がしさがうそのように静か。澄んだ水中で、なんと伏流水が河床から湧き出る音まで聞こえてくる。潜らないと分からない感動の世界が広がっている。

 凜(りん)とした空間というか、人間界で例えるなら「元日の朝」。そこに若アユが上ってくる。少しずつ騒がしくなって「元日の昼」。お孫さんが帰ってきて、にぎわう東洋町みたいな―。

 2月26日、仕事が休みだったので昼過ぎに川へ行くとカワウとシラサギが集まっているではないか。

 「これは、いる!」

 やはり駆け寄った岸際の流れに3、4センチの小さなアユが躍っていた。

 明けましておめでとう!(野根川漁協組合長)

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