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2023.02.27 14:27

【東京舞台さんぽ】「陽だまりの樹」 手塚さん曽祖父が住んだ小石川

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 伝通院=東京都文京区

 手塚治虫さんの時代劇漫画「陽だまりの樹」は、手塚さんの曽祖父・手塚良庵(後の良仙)を主人公の一人としたことで話題になった。幕末から明治維新の激動期を懸命に生きた若者を描いた物語は、東京都文京区小石川の「三百坂」で始まる。(共同通信=近藤誠)


 もう一人の主人公は、真っすぐな正義感を持つ伊武谷万二郎。小石川に屋敷を構えていた松平播磨守の家臣で、毎朝坂道を必死に駆け上がった。父と共に蘭方医として開業していた良庵は、それをやじ馬のように見ている。万二郎と、遊び好きの良庵は正反対の性格だが、ウマが合った。


 文京区教育委員会によると、元の名前は「三貊坂」。松平播磨守は江戸城に登城する際、従者たちを全力で走らせ、自身が乗ったかごが、坂を上り切るまでに追いつけなかった者に罰金300文を払わせたという。


 古地図には、三百坂の近くに手塚良仙の名が記されており、現在の東京学芸大付属竹早小・中学校の一角に当たる。


 漫画には歴史上の人物がその名の通り登場し、歴史的な事件もふんだんに取り入れられている。現在の東京ドームや小石川後楽園の辺りは、かつて水戸徳川家の上屋敷だったところ。水戸藩士で勤王家として知られた藤田東湖は内憂外患を抱えた幕府を、中身が腐って倒壊寸前の「陽だまりの樹」に例え、万二郎に幕府の支柱となるよう助言する。


 万二郎は非常に感銘を受けるが、東湖との出会いは最初で最後になった。1855年の安政の大地震で藩邸が倒壊。東湖は母を助けたものの自らは命を落としてしまう。小石川後楽園内には東湖の記念碑がひっそりと立っている。


 三百坂の目と鼻の先にあり、徳川家康の生母の菩提寺として知られる伝通院も登場する。物語の第1話で万二郎と決闘した清河八郎は、後に浪士組を結成する。隊士を募った際に集合場所となったのが伝通院で、墓所に清河の墓がある。


 【メモ】手塚良庵は大阪・適塾で福沢諭吉と共に学んだ。

(c)KYODONEWS

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