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2023.02.26 08:36

牧野富太郎博士の「万葉植物図鑑」 念願の刊行、子孫ら実現―ドラマティックMAKINO!

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 日本最古の歌集「万葉集」には、およそ160種もの植物が登場するといわれる。古来日本人は、どのような植物を愛し、それらを歌に織り込んできたのか。高知県佐川町出身の植物学者、牧野富太郎博士の関心もとりわけ深かった。その思いを結実させた「牧野万葉植物図鑑」が、このほど子孫らの手によって刊行された。

信頼する画工の112種

刊行された「牧野万葉植物図鑑」。牧野博士の念願の書だった

刊行された「牧野万葉植物図鑑」。牧野博士の念願の書だった

 博士の遺品から「万葉植物図」と書かれた100枚を超す植物画が見つかっていた。それらは博士が信頼する水島南平ら画工たちに描かせた植物画で、万葉集で詠まれた植物の色鮮やかな絵だった。

「ヤブツバキ」(植物画はいずれも水島南平作)

「ヤブツバキ」(植物画はいずれも水島南平作)

 それとともに万葉集に登場する植物を列挙した目録、植物の解説文など自筆原稿も見つかっていて、生前の博士が「万葉植物」の本の刊行を念願していたことが分かる。

 牧野博士のひ孫に当たる牧野一浡(かずおき)さんは、その博士の思いを酌んで牧野万葉植物図鑑の刊行を企画。邑田仁・東京大学名誉教授と練馬区立牧野記念庭園の田中純子・学芸員の協力で、博士念願の書が完成した。

 本書には博士が「万葉植物」とした112種を鮮明なカラー印刷で掲載。それら一つ一つの植物解説に博士が生前に発表した論考や文章を加え、万葉集の歌も引用されている。

 邑田名誉教授は前書きに「本書で拾い出された博士の書きぶりを見ると、それぞれの名前の背景にある文化を大いに楽しんだようにも思われる」と紹介している。

 牧野万葉植物図鑑は北隆館発行。B5判、356ページ、1万4300円。(竹内一)

高知のニュース 自然・植物 本紹介 牧野富太郎

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