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2023.02.24 08:35

【安芸桜ケ丘高】ぶっちゃけ、実感ない 校名消滅にはさみしさ―統合3校 母校の青春いつまでも

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 高知県内の県立3高校が今春、長い歴史に幕を下ろす。生徒数減などを理由に安芸桜ケ丘は安芸に、高知南と高知西は高知国際にそれぞれ統合され、その名を終える。最後の在校生は何を思い、巣立っていくのか。卒業生の思い出とともに、1校ずつ紹介する。

最後の卒業生たち(安芸市の安芸桜ケ丘高校)

最後の卒業生たち(安芸市の安芸桜ケ丘高校)


 安芸桜ケ丘高校の最後の3年生は2科計19人。2023年度の統合は「ぶっちゃけ、実感がない」ものの、「学校の名前がなくなるのはさみしい」と声をそろえる。

 情報ビジネス科では16人が学んできた。松田芽依さんが授業で思い出すのは、スイーツなどの販売体験という。

 自分たちで「こだわりがある」と感じた企業や店と交渉し、芋チップやプリンといった商品を仕入れ、安芸市役所内などに出店。ポップ広告を作り、当日は客に商品の魅力をPRして回った。見積書を作ったり原価を計算したりと、「準備がめっちゃ大変だった。その分、売れ行きが良いとすごくうれしかった。自分の糧になった」。

 環境建設科は3人。うち、土木専攻の浜渦煌心さんは元生徒会長で、隔年開催の文化祭への思い入れがあるという。1年時はコロナ禍で活動が制限されただけに、3年時は「少しでも楽しんでもらえるよう、生徒会でたくさん話した。ヨーヨーすくいをやったり型抜きをしたり。当日はみんな楽しそうで、それがなによりでした」と振り返った。

 同科でただ一人、建築専攻だった福正鈴涼音(すずね)さんは、「アットホームな雰囲気。マンツーマンの授業もあって、丁寧に優しく教えてもらった」と笑顔を見せた。

 4人は4月から、それぞれの道に進む。全国チェーンの菓子メーカーの県内店で働く松田さんは「授業や部活での経験を存分に生かしたい」と意気込む。

 一方、「専攻に関係のないところに進む生徒は意外と多い」と話す浜渦さんも「180度違うことをしたい」と、美容師を目指して春から高知市の専門学校で学ぶという。情報ビジネス科の松本夏綺さんは「職場見学で興味を持った」土木業界に進み、建築科で学んだ福正さんはゴルフ場のレストランで働く予定という。

 目の前では、新安芸中高の新校舎が建設中。松本さんが「2年の途中から、僕らの教室があった校舎の解体が始まって、今は跡形もない」と言えば、浜渦さんも「校章も校歌も制服も変わる。知っちゅうとこなくなるやん」。松田さんも「よくOBらが訪問して来よったけど、全然違う校舎には入りにくそう」と苦笑い。「でも、どんな感じか入ってみたいな」と話した。

 新校舎は5階建てで、24年3月の完成予定。23年度中は、新安芸高の普通科生は清和町の校舎へ。工業、商業の生徒は桜ケ丘町に通うことになる。(宮内萌子)

【安芸桜ケ丘高 沿革】
 前身の県立安芸工業高校は1966年、県立安芸高校の工業科が独立して開校。72年に現在地に移った。2002年に情報ビジネス科を新設し、校名を安芸桜ケ丘とあらためた。校訓は「誠実」、スクールカラーは緑。安芸工業高時代を含めた、21年度までの卒業生数は4204人。

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