2023.02.08 09:49
「母がまだ下に」祈る家族 トルコの大地震、重なるがれき
トルコ南部アダナで倒壊した集合住宅=7日(共同)
【アダナ共同】折り重なるがれきを憔悴した女性(45)が見つめていた。「母がまだ下に…」。後の言葉は続けられなかった。トルコの大地震で倒壊した南部アダナの14階建て集合住宅。20世帯以上が入居していたという。「何日かかっても、ずっと待つ」。行方不明者の家族たちは7日午後も続いた捜索活動を祈るように見守っていた。
「音を立てないで!」。救助隊が叫び、がれきを除去する重機が運転を止めた。静寂が広がる。「聞こえますか? 誰かいませんか」。下敷きになっている人の気配を感じると、こうして慎重な確認を行う。だが誰も見つからず作業が再開されることの方が多いという。
遺体が発見されるたび、不明者の家族たちに緊張が走る。遺体を乗せた救急車はサイレンを鳴らさず出発していく。
夫(43)の救出を待つセチ・アナスさん(39)がへたり込んでいた。夫は体調不良の親族を見舞いに訪れ、6日未明の倒壊に巻き込まれた。セチさんは直前に夫と電話していた。通話は「建物がすごく揺れている。やっぱり崩れる」という声を最後に途切れたという。