2023.01.23 08:36
光熱費の高騰、高知県民爪に火 湯たんぽ・重ね着 追いだきNG 高知新聞LINE調査【なるほど!こうち取材班】
「一家で『うわー、なにこれ』って、びっくらこきましたよ」
黒潮町の70代主婦は息子夫婦とオール電化の一戸建てに3人暮らし。先日、四国電力から届いた1月請求分の明細に目を疑った。
請求金額は約3万8千円。前年同月に比べて1万4千円も増え、約1・6倍に跳ね上がっていた。
使用量は1割弱しか増えておらず「電気代だけが独り歩きで上昇している」。家には太陽光発電を導入しており、「せっかく省エネ対策で高い設備投資したのはなんだったんでしょうか」と落胆した。
アンケートに答えた108人のうち、7割以上が光熱費の支払いが「増えた」と回答。火力発電用の燃料高騰を受け、四国電力が昨年11月から電化住宅向けプランなどを値上げした影響を挙げる人が多かった。
今まで光熱費を深く気にしたことがなかったという南国市の40代男性会社員は、オール電化住宅で夫婦と中学生の子どもの4人世帯。電気代は1年前の約2万6千円から約4万円に増加していた。
「値上げは報道で知っていたけど、数千円ぐらいかなと思っていた。1年前より使用量は減っているのに、なんで?」
明細を比べてみると、電力会社が燃料価格の高騰を料金に転嫁できる「燃料費調整額」が10倍近くに増えていた。「特に生活スタイルは変えていないのに…。このままだと不安です」。費用はかかるが、効率の良い給湯器への買い替えを検討しているという。
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中には「2人暮らしで電気代約7万円。1年前から3万円も増えた」という人がいる一方、値上げを踏まえて電気やガスの使用を控え、「光熱費は減った」と答えた人も。家族構成や料金プランなどによって光熱費の状況はそれぞれだが、多くの人があの手この手の節約術に腐心している。
高知市でワンルームのアパートに暮らす50代女性が活用しているのは即席の湯たんぽ。「2リットル入りのペットボトルに熱湯を入れて布団の中に置くと朝まで十分暖かい」。エアコンはつけず、服は重ね着してしのいでいる。
土佐市の30代女性看護師は「娘が生まれて電気代は増えた。お風呂は追いだきせず、速やかに3人が入る。シャワーを控えている」。四万十市の70代男性は半年ほど前に、ポータブルの電源とソーラーパネルを購入し、昼間の発電でテレビやこたつの電力を賄っているという。
ほかにも「窓にプチプチシートを貼って断熱」「家庭内の電灯をLEDに交換」などさまざま。須崎市の50代自営業女性はオイルヒーターの利用をやめたが、「それでも支払金額が上がっててつらい」とこぼした。
四国電力は昨年11月、一般家庭向け電気料金(規制料金)について、今年4月から平均28・08%の値上げを経済産業省に申請。政府の物価高騰対策で2月検針分から料金は最大2割程度値下がりするものの、四電の値上げ申請幅はそれを上回り、家計負担はさらに増加する可能性がある。
佐川町の50代女性保育士はこうため息をついた。
「光熱費だけでなく、食材値上がりもあるので、とにかく生活が楽しくないんです。これ、ずっと続くんでしょうか」(大野泰士)
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