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2023.01.17 08:00

小社会 風化と忘却

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 作家の故・藤本義一さんは兵庫県西宮市の自宅で九死に一生を得た。28年前の阪神大震災。洋服だんすの下敷きになり、もし5センチ右に寝ていたら「箪笥(たんす)の金具で頭蓋骨が粉砕されていた」(月刊神戸っ子「作家たちの大震災」)。

 ほどなく避難所の小学校を訪れた。喜ぶ人々の中に、うつろな目で牛乳瓶に挿された花を見つめる少女がいた。震災で父親を亡くしたその少女の姿が、後に遺児の心をケアしようと立ち上げた児童館「浜風の家」の出発点だった。

 藤本さんは、「風化」という言葉を嫌った。本来は地表や岩石が空気や水などの作用で次第に崩され、土や砂になっていく現象。人の記憶にも当てはめて「災害は風化する」と言うと、「そういうものだろう」と諦めの気持ちになっていくという。

 震災からおよそ6年後の随筆で、こうつづっている。「風化させるなという甚だ文学的な言葉や文字で記述しないでほしい。それよりも、もっと直接的に〝忘却するな〟と叫ぶべきである」

 高知県が一昨年行った調査では、南海トラフ地震への意識の低下が心配になる。コロナ下で自主防災組織の活動が滞り、県民の関心は薄れがち。避難する時機を「揺れが収まったらすぐ」とした人も7割前後で上向かないという。

 昭和南海地震から76年余り。風化や忘却という次元とは別に、私たちは次への「想像」も大事になるのだろう。1月17日。決意を新たにしたい。


1月17日のこよみ。
旧暦の12月26日に当たります。きのと ゐ 三碧 先勝。
日の出は7時10分、日の入りは17時22分。
月の出は2時05分、月の入りは12時42分、月齢は24.7です。
潮は若潮で、満潮は高知港標準で2時04分、潮位117センチと、13時03分、潮位139センチです。
干潮は7時03分、潮位87センチと、20時27分、潮位30センチです。

1月18日のこよみ。
旧暦の12月27日に当たります。ひのえ ね 四緑 友引。
日の出は7時09分、日の入りは17時23分。
月の出は3時14分、月の入りは13時23分、月齢は25.7です。
潮は中潮で、満潮は高知港標準で3時38分、潮位130センチと、14時11分、潮位143センチです。
干潮は8時40分、潮位93センチと、21時31分、潮位10センチです。

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