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2022.12.29 15:43

豚熱で全頭処分「見直しを」 影響甚大、最多の栃木

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 豚熱が発生した農場で殺処分の作業をする栃木県職員ら=7月、栃木県那須烏山市(同県提供)

 7月の豚熱(CSF)で過去最多の約5万6千頭を殺処分した栃木県から、発生農場での全頭処分見直しを求める声が強まっている。養豚業者は「経済的影響は甚大で、感染していない豚は残すべきだ」と訴え、県も国に処分範囲の縮小を要請。国は、まん延防止のため全頭処分が必要との立場を堅持するが、専門家は「一部だけの処分で問題ない」と指摘する。


 感染が確認されたのは、豚舎100棟以上を有する那須烏山市の大規模農場。


 家畜伝染病予防法は、感染が発生した農場の家畜全てを殺処分するよう規定。2018年9月以降、今年11月末までに18都県で85件発生。計約35万頭が殺処分された。


 「おいしく食べてもらうため、手塩にかけて育てたのに。やるせなく悲しい」。生産者の思いを代弁する栃木県養豚協会の星正美会長は、現行法に基づく全頭処分に「納得できない」と憤る。


 そうした考えに拍車をかけたのが、昨今の物価高に伴う飼料高騰だ。星会長は「感染していない豚を生かし出荷できる仕組みをつくってほしい」と切望する。


 県も、生産者側と歩調を合わせる。福田富一知事は11月の全国知事会議で殺処分の対象を限定すべきだと要望したが、国は見直しを否定した。


 生産者や県の主張は実現可能なのか。「部分殺処分」を提案する北海道大大学院の迫田義博教授(ウイルス学)は「理論上は感染拡大は防げる」と明言する。迫田教授は「県は現場対応を踏まえた実行可能な案を提示し、国と議論してほしい」と語る。

(c)KYODONEWS

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