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【復刻】高知大4回生の「サスケ君」活躍中 SASUKE選手の森本裕介さん「自分が輝く舞台、必ずある」

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 (2014年1月9日掲載)

身長162センチ、筋肉もりもりの体でロープを一気に登る森本裕介さん。自作のセットが並んだ場所には、子ども向けに「あぶないから はいらないでね」。平仮名で書いた看板を立てている(土佐市高岡町甲)

身長162センチ、筋肉もりもりの体でロープを一気に登る森本裕介さん。自作のセットが並んだ場所には、子ども向けに「あぶないから はいらないでね」。平仮名で書いた看板を立てている(土佐市高岡町甲)

 太い指が綱をつかむと、両腕の力こぶがぐっと膨らんだ。長さ4㍍のロープをみるみる登り切り、すとんと地面へ。何度繰り返しても、息は乱れず余裕の笑顔を見せる。高知大4回生の「サスケ君」こと森本裕介さん(22)=土佐市。球技が苦手で学校の体育は「まるで駄目だった」が、今や人気テレビ番組「SASUKE」の有力選手。2月末に日本代表としてアジア大会に出場する予定だ。

 1997年に始まったTBS系のスポーツバラエティー特別番組「SASUKE」。

 J字形の高さ4㍍超の壁を走って登ったり、ターザンのようにロープにぶら下がって池を越えたり。幅1㌢の出っ張りに指を掛けて進む…。多種多様な仕掛けを時間内にクリアしていく。

 これまで元五輪選手や格闘家、消防士らのべ3千人近くが挑んだが、完全制覇は3人だけ。森本さんは昨年の第29回大会、6度目の挑戦で出場100選手中トップの成績を収めた。

  ◇

 幼いころから「アスレチック遊び」が大好き。休日に春野運動公園のちびっ子広場や高知龍馬空港近くのトリム広場へ連れて行ってもらい、綱渡りや壁越えなどの遊具に熱中。「できなかったことが、できるようになる達成感」に魅入られた。

 小学2年生で番組を知った時、「進化したアスレチックや!」と興奮。すぐに「自分の世界はここだと思った。有力選手が自分のヒーローになった」。

 「SASUKE」をいちずに思い続けた少年は宇佐大橋までのマラソンや山道のダッシュ、懸垂300回と、「がむしゃらに」独自の練習に取り組んだ。

 高知中3年の時、大会最年少で初出場。全く歯が立たなかったが「本物の舞台に立てたのが、うれしくて。また頑張ろうと思った」。家族や友人、近所の人の応援もあり、挑戦を続けた。

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好きな言葉

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 大学では情報科学を専攻。集積回路の配線を研究している。「SASUKE」への取り組みは「量から質重視へと」方針を変えた。

 1年ほど前。材料をホームセンターで買いそろえて、自宅近くの敷地に番組同様の本格的なセットを組み立てた。本番で力を出し切れるよう制限時間を決め「緊張感を持って」1日1本の通し練習に打ち込んだ。

 昨年6月に放送された第29回大会の第3ステージ。第28回から登場し、攻略者がいなかった「クレイジークリフハンガー」を初挑戦で成功させた。

 3㌢の出っ張りに掛けた指で体を支え、1・8㍍後方にある出っ張りに向けてジャンプ。空中で体を反転させて再び指先だけで取り付くという超難関だ。最終ステージにはわずかに届かなかったが、ただ一人の「クレイジークリフハンガー」成功者となり、これでトップが確定した。

 それ以来、知人にサインを求められたり、見知らぬ高校生に声を掛けられたり。「好きだから、諦めずに続けてきた」と照れ笑いの森本さん。今春から大学院に進み、完全制覇への挑戦を続ける。

 テレビを見た県内外の子どもから、アルバイト先のクライミングジムにファンレターが届いた。

 森本さんは返事をこうしたためた。

 「夢を持って頑張ると面白い。たとえかなわなくても、得られるものが必ずある。人生は楽しいよ」

 誰にでも、自分が輝くにふさわしい舞台が必ずある。そう信じている。
(写真・加治屋隆文 文・吉良憲彦)

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