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2022.12.23 08:40

「人間見えていた」再生工場 エモやん 新著でノムさん述懐

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「野村さんは常に時代に順応した野球人だった」と話す江本孟紀さん(東京・浅草の喫茶店)

「野村さんは常に時代に順応した野球人だった」と話す江本孟紀さん(東京・浅草の喫茶店)

 高知県出身の元プロ野球選手、江本孟紀さん(75)がこのほど、2020年に亡くなった恩師、野村克也さんについてつづった「野村克也解体新書 完全版」(清談社Publico、1650円)を刊行した。戦後初の三冠王を獲得し、監督としては卓越した眼力で選手の才能を開花させ、4球団を率いて3度の日本一に輝いた名将を鋭く分析している。

江本孟紀さんの新著

江本孟紀さんの新著

 江本さんは高知商業高、法政大などを経て1971年にプロ入り。81年に引退するまで通算113勝を挙げ、92年からは参院議員を2期務めた。

 野村さんとの出会いは、プロ2年目に移籍した南海ホークス(当時)でだった。監督の野村さんに「お前の球なら10勝はできる」と声を掛けられ、「だまされて、その気になった」。移籍1年目に16勝を挙げ、76年に阪神へ移籍するまで4年間バッテリーを組んだ。

 「野球人としては一流だが、人間的には嫌なおやじだった」ので、多くの人は離れたが、江本さんとは「べたべたはしてないが、乾いてもいない関係」が続き、2021年のしのぶ会では野村さんの家族に求められ弔辞を述べた。著書は「『野村さんの薫陶を受けた』という偽物が多いけど、本当に野村さんのことを分かっているのは自分ぐらい」との思いで書いたという。

 監督として伸び悩む選手や首になった選手を見いだした「野村再生工場」についても独自に分析。フォームの改造や新しい技術を習得させるのではなく、違った考えや視点を教えることで埋もれていた力を発揮させた。「それで自信をなくしていた選手が一変する。つまり、人間が見えていたんだろうね」

 江本さんは17年、ステージ3の胃がんで「5年生存率は7%」と診断され、胃を全摘した。5年が経過したが、「人の3倍ぐらい食べていたのが、やっと2倍ぐらい食べられるようになった。寛解ですかね」。引退から41年。著書はベストセラーになった「プロ野球を10倍楽しく見る方法」などがあり、今回で82冊目。「求められる限りはやりたいね」と笑った。(浜崎達朗)

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