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2022.12.21 18:16

オチに工夫、春風亭一花抜け出す 「全国若手落語家選手権」予選第3回

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 「公推協杯 全国若手落語家選手権」予選第3回の出場者ら。前列中央は1位になった春風亭一花=東京都千代田区

 おとなしめの顔触れと思いきや、実は強烈な個性の持ち主という5人が腕を競った「公推協杯 全国若手落語家選手権」の予選第3回は、トリで「厩火事」を演じた春風亭一花が抜け出して1位に。だが他の4人も奮闘を見せ、将来を担う若手の潜在能力と意欲の高さを感じさせた。


 「厩火事」は、夫の本心を知りたい女性の心の揺れを描く人気作。「しっくりくるように考えた」というオチの工夫が光る。遊び人の夫の一言で終わらせずに妻のせりふを続けて、いちずな思いを印象付けた。


 2~4番手のインパクトが戦いをもり立てた。


 「二階ぞめき」を披露した春風亭昇羊は、自宅2階に出現した模型の「吉原」で一人遊びに興じる若旦那を熱演。一人でトランプのばば抜きに没頭した、幼少期の経験が生きているのだろう。


 三遊亭ぐんまは群馬、栃木、茨城の3県を題材にした自作「新・北三国志」を演じ、一番笑いが大きかった。本家「三国志」のスケール感は皆無だが、声量豊かに、ライバル3県がいがみ合うさまはおかしかった。


 そしてドジな泥棒が主人公の「鈴ケ森」をかけたのが柳家小ふね。頭領にも「上から目線」でものを言い、急に哲学的なフレーズが飛び出す不思議な味わいは、不条理劇を見ているようだった。


 トップバッターで「大工調べ」を演じた柳亭市童は、オーソドックスなスタイルがかえって個性的に映った。たんかを切る棟梁と、ぼーっとした与太郎の対比を明確にし、笑いにつなげていた。


 一花は来年2月の本選で三遊亭わん丈、立川吉笑と競演する。「2人は強敵。でも臆せず、しっかり勝負したい」。客演の橘家円太郎の助言を受け入れて「どんな手を使ってでも勝つ」覚悟だ。(取材・文=共同通信 八木良憲)

(c)KYODONEWS

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