2022.10.14 17:46
声ひろば 1996年5月19日、日曜日
1、もっと冷静なUFO報道を
【43歳男性・団体役員、中村市】
八日付本紙に「発光し空中で静止・五日夜一時間」「UFO!!」「野市町でビデオ撮影」の見出しで「香美郡野市町で五日夜、強い光を放ちながら空中でほぼ静止している物体が約二十分間撮影された」との記事が写真付きで載り、テレビでも問題のビデオが放映されました。
記事は、目撃者の「UFOじゃないろうか」という話とともに、高知空港管制官、高知UFO研究会会長のUFO説に肯定的な話を載せていました。
しかし、あまり調べもしないでこの種の報道をするのは、いささか軽率すぎたのではないでしょうか。
当日は晴れで暖かい日でした。「強い光を放ちながら空中でほぼ静止している物体があった」という西北西の空には、同じ時刻に「宵の明星」といわれる明るい金星が輝いていたはずです。
念のために県内の天文台におうかがいしたら「あれは九九%金星。 ビデオカメラのピントの調子によってあのような映像は撮れる」とのことでした。またある県内の天文の専門家も「UFOといわれるものの九割は金星で、ビデオのように映るのは回折現象によるもの」と指摘しています。
オウム真理教事件で、 少なくない若者が非合理的な「空中浮揚」「超能力」にひかれていった原因の一つに「オカルト」「UFO」「超自然現象」などを無責任に放映してきたマスコミの非科学的な報道がありました。ものごとを科学的にとらえることの大切さが求められている今日、もっと冷静な報道が必要ではないでしょうか。