2022.11.22 08:46
コロナ医療支援の陣頭指揮で、認定NPO「ジャパンハート」高橋茉莉子さん(高知市出身)が活躍 「行政の届かないところ救う」
「ジャパンハート」で働く高橋茉莉子さん(東京都台東区)
高橋さんは学芸高校を卒業し、一橋大学社会学部に進学。2011年から約1年半、東南アジアなど医療の行き届かない地域で活動するジャパンハートでインターンシップ(就業体験)を行い、ミャンマーで視覚障害者の自立支援事業に携わった。
クラスターの発生した福祉施設を訪れた高橋さん=右(2021年6月、北海道苫小牧市=高橋さん提供)
コロナ禍は、04年の設立以来、海外で延べ30万件以上の治療を行ってきた団体の大きな転機となった。東日本大震災や西日本豪雨の際に現地で医療活動を行った実績もあり、20年以降は国内での活動にも力を入れるようになった。
自治体からの要請を受けて、感染者や濃厚接触者が出て人手が足りなくなった医療機関などに延べ500人近い看護師らを派遣。沖縄県では介護が必要な濃厚接触者を受け入れる専用の施設を開設し、家族全員が感染して行き場のない医療的ケア児を引き受けた。
担当部長として事業の中枢を担う高橋さん。「他の組織にできないことをやるのがわれわれの役目。社会の最後のとりでであり続けたい」と話す。
副事務局長を兼務し、約170人の職員をまとめながら、活動に不可欠な寄付金集めも担う。資金面で苦労するNPOは多く、ジャパンハートも収入の9割以上を寄付金に頼る。
高橋さんは「どれだけ良い取り組みでも、続けなくては意味がない。金融の現場で得た知識を生かせれば」と、企業や個人に向けた活動の周知に力を入れ、11年度に約3億7千万円だった収入を21年度は10億円近くにまで伸ばした。
離れても古里、高知への思いは強い。「東日本大震災やコロナでも行政は機能不全に陥った。ノウハウを積み重ねて、南海トラフ地震が起きた時には駆け付けたい」と力強く語った。(浜崎達朗)