2024年 05月02日(木)

現在
6時間後

こんにちはゲスト様

2022.11.12 08:00

【閣僚また辞任】任命した責任は重い

SHARE

 岸田内閣の閣僚がまた、国民の政治不信を招き、職を解かれた。葉梨康弘法相が、死刑執行を判断する法相の職務を軽んじる発言をし、辞任した。事実上の更迭とみられる。
 葉梨氏は、同じ自民党岸田派の同僚議員のパーティーで、法相の職について「朝、死刑(執行)のはんこを押す。昼のニュースのトップになるのはそういう時だけという地味な役職だ」などと述べた。
 同趣旨の発言は今までも繰り返していたという。政治家は集会などであいさつする際、軽口で場を和ませようとする。その素材なのだろう。葉梨氏は、法務省の仕事の重要性を説く中で切り取られた発言として、当初は発言撤回も拒んでいた。
 しかし、人命を奪う刑罰である死刑は極めて重いテーマであり、是非に関しても国内外でさまざまな意見がある。冗談や軽口で言及してよいようなものではない。それを最も分かっていなければならない1人が法相だ。決定的に適格性、資質を欠いていると言わざるを得ない。
 法相は、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)問題の被害者救済も担当している。その中で葉梨氏は「旧統一教会問題に抱き付かれてしまい」「私の顔もいくらかテレビに出るようになった」とも述べた。教団の被害者にすれば、対応に不信を抱かざるを得ないだろう。
 また、閣僚ポストとお金、票集めを露骨に結びつける発言もあった。卑しいと思わないのだろうか。
 発言には野党だけでなく与党からも批判が出て、辞任論が強まっていた。岸田内閣の閣僚辞任は、旧統一教会との接点が相次いで発覚した山際大志郎・前経済再生担当相に続いて2人目となる。
 岸田文雄首相は、山際氏が辞任した時の「後手」批判を意識したのだろう。今回は11日に予定していた外遊出発を先送りして判断した。もっとも、同日午前は続投させる意向を示していた。受け身だったことは否めない。任命した責任も当然重い。
 岸田内閣では、寺田稔総務相の「政治とカネ」の問題も相次いで浮上している。自身の政治団体による妻への事務所賃料支払い問題、故人名で政治資金収支報告書が提出されていた問題、寺田氏個人から自らの政治団体への貸付金が報告書に記載されていない問題などで、野党の追及を受けている。
 答弁の整合性には疑問符が付いており、説明責任が果たされたとは言えない。政治資金規正法を所管する閣僚である。あいまいなままでよいはずがない。
 岸田首相は8月の組閣時、「参院選で国民から頂いた信任を一刻も早く形にし、期待に応える有事の内閣を速やかに整えた」と話した。
 しかし、閣僚のスキャンダルのせいで懸案への対応が滞っているのが実情ではないか。
 なぜこのような人事をしたのか。自民の国会議員の質や、派閥重視の組閣システムに限界を感じざるを得ない。党は組織の問題として、重く受け止める必要がある。

高知のニュース 社説

注目の記事

アクセスランキング

  • 24時間

  • 1週間

  • 1ヶ月