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2022.11.07 08:00

小社会 柿と立冬

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 柿というのは不思議と引かれる果物である。先日も梨を目当てに高知市内の直販所を訪れたら、袋入りのつややかな柿がずらりと並んでいて、気付くと2袋も買い求めていた。

 甘さや食感の魅力はもちろん、秋の深まりを感じさせる、あの色に誘われる。加えて、たくさんの実りが、穏やかに年の瀬に向かう世の中を物語っているかのようで、手に取ってしまう。

 日本人にとって柿は古くから身近な果物であり、物語や俳句などにも登場してきた。専門家によると、中国や朝鮮半島などでも栽培されているが、もともとは渋柿ばかりだったらしい。甘柿は「もっぱら日本において生まれ、発達した」(今井敬潤著「柿」)というから、日本人の柿へのこだわりようが分かる。

 僧侶で作家の今東光が随筆に書き残している。故郷の青森でリンゴがたわわに実った光景より、岩手の中尊寺近くで「渋柿を枝いっぱいにつけて捨て置かれている風景の方に感銘を受けるのは何故(なぜ)だろうか」と。やはり柿には日本人の心をつかむ何かがあるのだろう。

 直販所の帰り道に、民家の庭に実が一つだけ残された柿の木を見つけた。来年もよく実るようにと願いを込めて残した「木守柿(きもりがき)」に違いない。これも平和の光景である。〈富士見ゆる村の寧(やす)しや木守柿〉角川源義。

 柿は秋の季語だが、晩秋を過ぎても残される木守柿は冬の季語に当たるとか。きょうは立冬。暦はもう冬を迎えた。


11月7日のこよみ。
旧暦の10月14日に当たります。きのえ ね 六白 大安。
日の出は6時30分、日の入りは17時09分。
月の出は16時30分、月の入りは4時57分、月齢は12.7です。
潮は大潮で、満潮は高知港標準で5時11分、潮位181センチと、17時05分、潮位187センチです。
干潮は11時06分、潮位62センチと、23時27分、潮位23センチです。

11月8日のこよみ。
旧暦の10月15日に当たります。きのと うし 五黄 赤口。
日の出は6時30分、日の入りは17時08分。
月の出は17時01分、月の入りは5時59分、月齢は13.7です。
潮は大潮で、満潮は高知港標準で5時52分、潮位185センチと、17時30分、潮位188センチです。
干潮は11時40分、潮位69センチと、23時59分、潮位15センチです。

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