2022.11.05 03:57
「安全な医療提供確保を」 邦人男性、支援活動を指揮
ウクライナでの支援活動について説明する「国境なき医師団」の萩原健さん=2日、東京都新宿区
ロシアの軍事侵攻が続くウクライナで8~10月、「国境なき医師団」(MSF)の緊急対応コーディネーターとして現地支援を率いた萩原健さん(55)が5日までに、共同通信の取材に応じた。戦闘が激化する中での活動を振り返り「安全に医療を提供できる体制を確保してほしい」と当事国や国際社会に訴えた。
萩原さんは8月10日にウクライナ入りし、南部ザポロジエや東部ドニプロ、ドネツク州などで活動。長期の避難生活を強いられた人たちへの移動診療や、医療施設のサポートを指揮した。
9月下旬にロシアはウクライナ東部・南部4州で「住民投票」を強行し、併合を一方的に宣言。10月にはウクライナ全土へのミサイル攻撃があり緊張が高まった。「いつ着弾するか分からない中、シェルターへの移動診療が続いた。病院近くへの攻撃もあった」
ウクライナの医療体制は比較的機能しているとされるが、ニーズの把握に困難な面があったという。前線に近いドネツク州スラビャンスクでは、産婦人科や小児科の病院が閉鎖し、総合病院が診療を一手に引き受けていた。スタッフやベッド数が約4分の1に減る中で運営は続けられていた。
「小児科のニーズはもっとあるが、来ることができていないだけではないか」。こう考えた萩原さんらは、小児科の病院の再開に向け準備を進めたという。